翔太さんとの出会い

13/22
9人が本棚に入れています
本棚に追加
/22ページ
「んんっ……」 ここどこ? 「起きたか?」 「蓮さん!」 あっ、そういえば昨日倉庫に泊まったんだっけ……忘れてた。 「朝ごはん出来てるから食べおいで……」 「はーい!」 そういえば昨日の夜薬飲まなくても寝れた……。 まぁ夕食後にも少し入ってるんだけど、いつもなら寝れないのに…… このままなら朝ごはんも食べれるかな? 「いただきます」 「召し上がれ……っ!」 ーパクっ 「っ……」 「美味しくなかった?」 「んーん、美味しいけどもういいかな?一口でやめてごめんね、食欲なくて……。」 ここなら食べれるだろうと思ったのに……。 ここなら翔太さんの手作りなら食べれると思ったのに……。 視界がぼやけてきた。 「泣くな、大丈夫だから……」 ポンポンと撫でてくれた。 それでさらにぼやけてくる。 「ごめんね……ほんとに……。」 「大丈夫……大丈夫……。他の奴らが食べてくれるから大丈夫。」 「うん……。」 申し訳なさで上が向けない。 下を向いているとふわっと抱きしめられた。 「そんなに気に病むな、ほんとに大丈夫だから……」 「もう大丈夫!ありがとう、翔太さん。」 そう言って笑うと翔太さんは辛そうな顔をした。 「どこか悪いですか?」 「なぜそんな質問する?」 「つらそうな顔してるから……。」 翔太さんは苦い顔をした。 「雫が無理して笑うから……」 「無理してないよ?」 「雫が気づいてないだけ……」 そんなのわかってる。自分が1番わかってる。 「わかってるもん……」 「ん?ごめん聞き取れなかった」 「そんなこと分かってるもん!」 思わず叫んでしまった。翔太さんは何も悪くないのに……。 「そうだよな、ごめん……」 「あっ、ごめんね……翔太さん……」 「そーちょーってあれ?修羅場?」 「りんさん……もう大丈夫です。どうしたんですか?」 ちょうどいいタイミングでりんさんが入ってきた。 「何の用だりん……。」 「紅蓮のヤツらが区域内を暴走してるって連絡が入りました。」 「雫はここで待っててくれ俺行ってくる。」 「待っ……」 「ん?」 消え入りそうな声だったのにちゃんと拾ってくれる翔太さんは優しいんだ。 「んーん、なんでもない。怪我だけはしないでね。」 「ふっ、俺を誰だと思ってる?」 軽く笑う翔太さんはさっきのやり取りはなかったことみたいになってる。 「ふふっ、そうだね、行ってらっしゃい。」 手を振ると翔太さんはりんさんと一緒に部屋から出ていった。
/22ページ

最初のコメントを投稿しよう!