翔太さんとの出会い

14/22
9人が本棚に入れています
本棚に追加
/22ページ
side翔太 雫と初めて会った日運命だと思った。 亡くなった俺の妹にそっくりだった。 こいつはちゃんと守り抜くと決めた。 俺の妹は自殺だった。いじめで……。 俺がちゃんと見ていれば紫音(しおん)は死ななかった。俺がちゃんと見ていれば……。今頃悔やんでも意味ないのに……。 「んん……。」 横で寝ている雫の頬を触ると涙が一筋流れた。 「ごめんね……。」 ごめんね?何に謝っているんだ? 「……お母さん……。」 お母さん?何も悪いことしてなさそうだけどな……。 次の日雫が起きて来て聞こうとしたけどやめた。聞かれたくないことだってある。 そりゃぁ俺にもあるからな。 そして今に至る。 俺は街中を走り回った。 すると公園に紅蓮の連中がいた。 「お前らか暴走してるって言うやつは」 「これはこれは、氷帝では無いですか?」 「ここがどこかわかってやってるのか?」 「白龍とかいう仲良しこよしグループですよね?」 無駄に敬語なんか使いやがって……。 俺はその言葉を最後にボコボコさにした。 「次はないと思え……。」 「くっ……。」 side雫 「大丈夫かな?翔太さん……。」 あれから2時間だった。 ーガチャ 「雫……」 「翔太さん……!?血がいっぱい」 「あぁ、大丈夫……これ全部返り血だから……。」 白かった服が真っ赤に染まっていた。 拳は皮がむけていて痛そうだった。 「手、痛そうだよ? お風呂入った方がいいよ?」 私が触れようとするとスっと逃げる翔太さん……。 「翔太さん……?」 「雫が汚れる……俺に触るな……!」 ーギュッ 「雫!!離せ、汚れるぞ!」 バタバタと暴れるが私も負けじと離さない。 「翔太さんは汚れてないよ!綺麗だもん!私を救ってくれたもん!」 「雫……。分かったから、1回離せ……。」 そう言われ私は渋々離した。 「翔太さんは汚れてないもん。」 「ふっ、ありがとな!でも自分を見てみろよ。血だらけだぞ。服どーするんだよ?」 「ほんとだー!どーしよ?翔太さん!」 白い服が赤くなっていた。 「ちょっと待ってろ探してくる。」 そう言って部屋から出ていった。 「ほらこれがあった。これに着替えてこい!」 いかにも女の子が着る服だった。 「俺の妹が着てた服だ。」 「妹さんいたんだね!今度会いたいな!」 そういうと苦そうな顔をした。 「翔太さん?」 「あ?……あぁ、どした?」 「んーん、何も無いよ?着替えてくるね。」 この時の私は妹さんがこの世に居ないことなんて思ってもなかった。
/22ページ

最初のコメントを投稿しよう!