翔太さんとの出会い

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「っと、そろそろ帰るか……。」 あれから何時間経ったか分からないけどもう太陽がのぼり始めてきてる。 「そうだね……。」 「送るわ…家どこ?」 そう言われ初めて辺りを見渡したら、家から結構離れたところまで来ていた。 「いいです、1人で帰れますから。」 「なんでそこで頑固になるんだよ?……ほら帰るぞっ!」 ーグイッ! 腕を引っ張って私を立たせてくれた。 本当に大丈夫なのに……。 しょうがなく私と翔太さんは並んで私の家まで歩いていた。 手は自然と繋いでいた。 久しぶりの人の体温に胸がドキドキする。 冷たいけどどこか暖かい。そんな感じ。 「ここです。ありがとうございました!」 「着いたか…なかなか遠かったな…ほんとに悪かった巻き込んで、じゃあな……。」 もう二度と会えないの……そんなのいやだ。 「待って……。」 「ん?なんか言ったか?雫……?」 「な、なんでもない!」 何言おうとしたのよ私!翔太さんは心配そうにこちらに近づいてくる。 「じゃ、じゃあね!」 「雫……また会おうな!」 「っ……!?」 まるで私の心を読んだかのようにそう言って彼は陽だまりの世界へと帰って行った。 そして私はしばらくそこから動けなかった。 やっと動けるようになった私は急いで部屋に戻った。 ーコンコン 「雫ちゃん……起きてる?」 「寧夏さん、起きてますよ?」 わたしの返事にびっくりしたのか目を見開いてる。 「ごめんね、返事してくれるとは思ってなくて……朝ごはんできてるわよ?たまには食べにおいで?」 いつもなら無視してた。でも今日は気分も良かったからなんて自分勝手なんだろう。でもそれでもおばさんは嬉しそうだった。 「うん……食べに行く!」 いつもの席に用意してあるご飯はいつも美味しそうだった。 食べなくても、降りてこなくても、無視しても、いつもの席においてあるご飯、そのありがたみが久しぶりに嬉しかった。 今日のご飯は鮭の焼き魚に味噌汁、ごはんに納豆だった。 和風でいかにも朝ごはんって感じだけど今はそれが嬉しい。 「「いただきます」」 2人で手を合わせ食べるご飯は何ヶ月ぶりだろう? 久しぶりのご飯は心まで暖かくなる感じがした。
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