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「雫さん、トランプしません?」
「へっ?」
今自分でも間抜けな声出たな……。
「ブッッ……ゴホンっ……。」
翔太さん……隠せてないよ…。
ーバシンッ
「痛てぇ……」
翔太さんはさておき…
「トランプですか?」
「……っはい、大富豪ですが……。」
今の光景がありえないって顔して一瞬返事が遅くなった燐さんだけどすぐに元に戻った。
「今の暴走族ってトランプとかするんですね!」
「俺らのチームぐらいですよ?こんなに仲良いの…だから他のチームに気をつけてくださいね。まぁ、総長がいれば大丈夫だとは思うっすけどね?」
「いいチームですね!だから私の高校でも人気なんですね!」
私の言葉にまたりんさんは目を見開いた。
「?」
「いやいやいや、雫さん、大学生かと思ってました。すいません、あっ、別に老けてるってわけじゃないですよ?大人びてるって感じがしてて……。」
初めて言われた……。
「あ、ありがとうございます?」
「でた、雫の疑問形。」
今まで黙ってた翔太さんが急に会話に入ってきた。
あっ!そうだっ!翔太さんもトランプ参加して欲しいな……。
「なんか言いたげな目してるな……。」
「翔太さんもトランプ……」
「却下」
まだ何も言ってないのにー!
「雫さんそういう時はですね……。」
ービクッ!
りんさんが後から翔太さんの首筋をスっーと撫でるとありえない速さで反応した。
「りーんー!?」
「参加して欲しいっす!」
「……はぁ…。1回だけだぞ?」
「やったーっ!」
私とりんさんは大喜び!それにつられみんなも雄叫びを上げてる。楽しい!こんな世界があったなんて思いもしなかった。
ずっと暗くて辛い生活を過ごすんだって思ってた。
あっ……やばいっ……変な事考えてたら息が苦しくなった。
『死ね』
『消えろ、消えろ』
『お前なんか…何時でも殺せる……』
「やめっ、ヤメ、テ……ゔゔ…はぁ…っ……。」
「雫……?」
「雫さん?」
一瞬だけど2人が私を殺しにかかったふうに見えた。
「お願いっ。殺さないで、ごめんなさい……。」
「雫……。俺がついてる。」
「ポケット、薬、」
「薬ってこれか?」
ポケットの中にはリスペリドンという液体の薬が入ってる。何かあったらと思っていつも持ち歩いてる。
今日も持ち歩いてて良かった。
これを飲むと少し落ち着く。
ーゴクッ
「大丈夫か?」
「大丈夫っすか?雫さん……。」
「もう大丈夫です。心配かけてごめんなさい。」
「今日はもう帰るぞ?」
「うん……。皆さんごめんなさい。心配かけて。」
「気をつけてください…また会いましょー!」
「ふふっ、はい!」
また来ていいんだ。それに私は嬉しく思った。
「雫……体が悪いことは知ってるつもりだったが薬飲むほどなんて思ってなかった。悪い…俺が連れ回したからだよな……。」
「違うよ?自分のせいでこうなったから大丈夫だよ?」
「いつでも待ってるから話せる時に話せ」
「うん……ありがとう!」
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