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「やぁ、雫ちゃん元気だったかな?」
診察室を開けるとまだ35歳と若い私の主治医佐藤先生が待っていた。
「幻聴とフラッシュバックが酷いです。」
「そうか…。夜は寝れてる?」
「寝れません。」
先生は目の前のパソコンとにらめっこしてる。
「これ以上薬増やすのもなぁ……。」
そう私は今たくさんの薬を飲んでる。
睡眠薬に睡眠導入剤、熟眠剤、抗精神薬、安定剤、抗不安薬、その他諸々。
これらがないと私は生きていけない。
この薬に助けられている。
「先生、どうにかならないんですか?」
「んー、精神病ってのは若ければ若いほど勢いも若いんだよね……だから薬で追いつかない時もあるんだよ。それだけはいつも言ってるからわかると思うんだけどね……僕も雫ちゃんが苦しんでるのはよくわかってるからね?ひとりじゃないからね……それだけは覚えてて欲しい。」
「うん……わかった……。」
そして先生は色々悩んで今回は薬はそのままだった。
「先生、またね、来週……。」
「雫ちゃん、また来週、ここで待ってるからね?」
「っ……。」
先生は気づいてるんだ。私が死にたいって思ってること。
そして私を死なせないようにしてること。
生きる目的を作って私を生かせてくれること。
先生には頭が上がらないや……。
「長谷川さん、終わったよ。」
「おかえり、雫ちゃん。」
「先生ってすごいね……!」
先生だけじゃない長谷川さんだって他の看護師さんだって私を少しでも長く生かしてくれようと頑張ってくれてる。
だから私も簡単には死ねない。
「そうね……雫ちゃんだってすごいわよ!約束を守ってくれるから…。」
「そうかな?」
「そうよ!約束を守れない人だっているんだもの。」
私が約束を守れてるのは先生たちが大好きだからだよ?
でもこんなこと恥ずかしくて言えないから黙っておくけどね……。
「柊雫さん、会計終わりました。」
「じゃあまたね、長谷川さん!」
「またね、雫ちゃん。」
その後私とおばさんで薬をもらいに行き、家に帰った。
家について自分の部屋に入ると睡魔が襲ってきた。
そして私はその睡魔に負けそのまま眠ってしまった。
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