プロローグ

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プロローグ

一.プロローグ  みんなバラバラになってしまった。あの時、あんなことが起こらなければ、今でも、私たちは幸せに暮らしていただろう。 これまで通り、何も変わること無く、毎日、学校に通って、あるいは、通勤して、ただ、自分たちの目に映る日常の世界が、これからも当然のように、ずっと続いて行くのだと信じて。何の疑いも感じずに。  どうして、こんな風になってしまったんだろう。なぜ、みんなバラバラになってしまったのだろう。 あの出来事のせいだったかもしれないが、本当の所は、何が原因なのかなんて、確かなことはわからない。理由を探しても、誰も答えてはくれないのだ。  もし、原因が他にあって、何者かが意図的にそうしたのだ、と言うのなら、今の私には、それは、「運命」だとか「神の力」だとか言う言葉でしか、説明ができないだろう。だって私たちは、それを望んでいなかったのだから。
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