16人が本棚に入れています
本棚に追加
「ううん。何でもない。ただ、もうちょっと繋がっていたいかなって思っただけ」
タブレットの中の真由が、少し、寂しそうに見える。
「ごめん。また今度ね。明日なら時間あるよ」
理沙がそう言うと、真由は、「うん」と小さく頷いた。その様子を見ていた茜が、
「じゃ、私、先に落ちるね」
と言ったので、理沙と真由が、「バイバイ」と声をかけたが、茜は、二人の挨拶が聞こえたかどうかもわからないぐらいのタイミングで、あっという間にモニターから消えた。
「じゃ、あたしも、そろそろ行くわ」
理沙は、モニター越しに真由をじっと見つめる。
「大丈夫?」
理沙は、もう一度、真由に声をかけたが、モニター越しなんて、結局の所、相手の本当の気持ちは分からない。理沙は心の中で、そう思っていた。
「うん」
真由が笑っている。
「何かあったら、すぐに連絡してね」
理沙がそう言うと、真由は、こっくりと頷いた。理沙が、真由を気にして躊躇っていると、
「もう行って。送れるわよ」
真由がカメラに向かって、早く行くようにと手を払った。理沙は、笑って頷くと、
「わかった。もう行くから。でも、真由、連絡してね。絶対よ」
と言い置くと、モニターを切った。
最初のコメントを投稿しよう!