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更に、
『長時間、集まっての労働、学習、集会、飲食、会合の禁止』
と言う物もあった。
これにより、ほとんどの学校は、オンライン授業になった。仕事も、在宅ワークになるか、少人数で、ひとり一人、八方を塞がれたブースを利用してのサテライト勤務になり、商業取引のほとんどが、ネット取引になった。結婚式も、葬式も、余程、身内じゃない限り、オンラインを使っての参加だ。ほとんどの飲み会は、やはりオンラインで行われたが、飲み食いで集まること自体が、段々と少なくなった。近頃では、親しい友人同士でさえ、滅多に、飲食を共にすることが無くなっている。もちろん、不要不急の外出が禁止されているのは言うまでもない。
そして、こう言うレギュレイションは、貧富の差による生活水準の差を、どんどんと広げて行った。公立の学校は、全てオンラインで授業が行われていたが、私立はと言えば、授業料が高ければ高いほど、設備にお金をかけ、子供たちの安全を守りながら登校できるシステムを導入した。結局、子供の健全な発育には、同じ年齢の仲間との触れ合いが必要なことは、今も昔も変わらない。テレビのワイドショーで、専門家がもっともらしく、オンライン授業の素晴らしさを語っていても、教師も、親も、皆、対面授業には及ばないことぐらい気付いていた。親にお金があれば、自分の子供には、設備が整った私立に通わせたいと思うのは当然のことであった。
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