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「仲間に入る勇気が、かなり無いとね。拒否する方は機械越しだから、誰かを仲間外れにしても痛みも何もないものね」
理沙がそう言うと、
「そうだよ、ブロックされたら終わりだし」
と茜が悲しそうな顔をした。
「へんな時代だよね」
理沙が茜に同調すると、真由がベッドから起き上がり、タブレットを膝に置くのが見えた。タブレットの中に、真下から映し出された真由の顔がある。理沙は、それを見て可笑しくて笑った。真由が、タブレットを顔の高さまで持ち上げる。今度は、真正面から、画面いっぱいに真由の顔が映し出された。
「そう……小学校の頃はこんなんじゃなかった」
真由は、タブレットに埋め込まれているカメラを真っすぐに見つめると、そう言った。その様子が少し可笑しくて、理沙と茜は、クスクスと笑ったが、すぐに真由の意見に賛同して、画面の中で、「うん、うん」と頷いた。
すると、ベッドのヘッドボードに凭れてタブレットを見ていた真由が、
「理沙……今日、これから予定あるの?」
と尋ねた。
「うん。ヴァイオリン教室に行くわ」
理沙は、綺麗にマ二キュアを塗り終えた手を、カメラに映すと、そう答えた。
「そっか、じゃ、また今度だね」
と真由。
「何?」
理沙が真由を覗き込む。茜も、
「どうかしたの?」
と、真由に声をかけた。
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