東田O弓橋

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「あ、あれって……人魂じゃ……」 「そうですねえ。多分、御弓橋に向かっているんでしょう。たまに二人で市電に乗っては駅前周辺で遊んだり、あちこちに出没しているようですが、彼らのテリトリーは基本的に、二人が逢うために作られた御弓橋ですから」  のんきな声で説明する安在に、師田は「テリトリーって……」と気になったところを復唱する。わざわざ答えなくてもいいことなのだが、安在は律義に説明しだす。 「裕福な家に生まれ育ったお弓さんが、川を越えて吉田城下町の京之介さんのところまで三味線を習いに来ていたんですよ。二人は師と弟子という関係から、徐々に恋仲になったわけですが……」 「身分差ゆえに家族の反対にあったわけですね?」 「ええ」 「じゃあ、もしかして御弓橋で二人は心中したとか?」 「いいえ。京之介さんと一緒になれないことに絶望したお弓さんは、井戸に身投げをし、京之介さんは大雨で氾濫した川にのまれて亡くなったと言われてます」 「え? じゃあ御弓橋は関係ないんじゃ……」 baf4dd9c-b8f2-426a-87f0-5f2d3ce71aa8
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