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それから、僕たちは結婚した。
その時の判断は多分間違っていなかったのだろう。
それから16年ぐらい経っただろうか。
大掃除をしていたら、あの時の携帯電話がタンスの中から出てきた。
「これ、まだ電源入るかな?」
「多分、充電コードさえあれば行けると思うけどな。」
幸いにも、充電コードは携帯電話の箱の中に入っていたので無事電源を入れることができた。
そこには、あの時のペンギンがいた。
「懐かしい!時間こそ2019年で止まっているけどペンギンはそのままだ。」
「そうだな。僕たち、このペンギンがいなかったらヨリを戻すことなんてできなかっただろうな。」
「世の中には私にしか出来ないことってあるじゃん?それを教えてくれた大切な相棒だよ。」
それから、掃除をそっちのけで僕たちはペンギンの待ち受け画面を見つめていた。
『あの時、私にしか出来ないこと』
それは、タケシとのヨリを戻すことだった。
あの時、オレンジ色の携帯電話のペンギンが教えてくれなければそんな事考えられなかった。
襤褸襤褸の携帯電話の裏側には、ヨリを戻した直後のタケシと撮ったプリクラが貼ってある。
タケシは少し苦虫を噛み潰したような顔をしていたけれども、私にとってはとても大事な写真だ。
この一瞬があったからこそ、今の私たちは成り立っている。それは間違いない。
(了)
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