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ぐぅ。
森の中に大きな音が鳴り響く。
「ちょっとミレル!」
「だっておなかすいたんだもん! どうしたらいいのよ!」
「私だってお腹すいたぁ」
ビッグボアから必死で逃げる途中、卵とポタトのサンドウィッチを落としてしまった。お昼にミレルと一緒に食べようと頑張って早起きして作ってきたのに!
ああ、恨めしい、恨めしい。ビッグボアめ! 私たちの目の前で美味しそうにサンドウィッチむしゃむしゃ食べやがって!
ぐぅ。
私のお腹も鳴った。ふぅ。
「でもこうなったらやっぱり、ビッグボア倒したい」
「いやリザ。倒してどうやって持って帰るのよ。私ら2人より全然大きいじゃない、てかそんなの追いかける前からわかってたじゃん」
「でも! でも! めっちゃ……美味しそうなんだもん! ……でしょ?」
「ビッグボアのお肉は普通のボアよりずっと美味しいって言うけどさぁ」
ビッグボアの背丈は2メートル以上で私たちより高く、体長も多分5メートルくらいはあった。てことは体重は500キロくらいはありそうな。
普通のボアなら村でたくさん飼われている。もともと野生のモンスターだったものを何代にも渡って養殖したもので、お祝いの時くらいしか食べられないけど、ボアのアバラの骨をじゅーじゅー遠火で焼いたスペアリブとかはもう絶品で、油がぽたりぽたりと火に落ちるたびにジュワっと焦げた香ばしい香りが広がってそれをちょっとだけ甘酸っぱいソースをかけてクレアの葉っぱで包んで食べるともうね、我慢できない。
前に食べたのはミレルのお誕生日だったなぁ。よだれで溺れそう。
やばい。腹が減りすぎて死ぬ。
そんでビッグボアは普通のボアより数段旨いらしい。何故ならビッグボアはこのコイロス村の奥の森に生えるパイヌの巨木の実しか食べなくて、その実の甘くて香ばしい香りがお肉にばっちり染み渡っている、らしいから。
パイヌの実はたまに狩人さんが拾ってきてくれるけれど、炒って食べると本当に香ばしくて美味しいの。やばい。腹減った。
「ミレル、やっぱ私ビッグボアを倒す! 大事だから2回言った!」
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