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「うへぁ。じゃあどうすんのさ。あんたの弓も刺さらなさそうだし私の剣だってそう簡単にはダメージを与えられないよ」
「罠はどう? 落とし穴とか」
「あれが入る穴を掘るの? 日が暮れちゃうよ」
ミレルはうんざりと両手を組む。
ビッグボアの背丈2メートル×体長5メートル……。流石にそれが入るような落とし穴は無理、か。そしてビッグボアの体は焦げ茶の剛毛とその下の硬い皮膚に覆われている。私の矢は胴体に刺さらなかった。1時間ほど前に射掛けてもその表面をぴゅんぴゅん弾かれて地面に落ちるだけだった。
「うーん、落とし穴は無理でも足を引っ掛ける系の罠はどうかなぁ」
「くくり罠ってやつか。そういえば前にギルドの講習で習ったなぁ。でも紐とか……は持ってるか」
「うん」
元々は手前森の端っこの方にある岩山の崖でホーク鳥の卵を集める予定だった。だから命綱用にロープは持ってきている。鹿やアナグマがいれば獲りたいなと思って一応罠を作るためのセットも。
ミレルと講義を思い出しながら輪っかを作って反対側を木に設置する。ここにビッグボアが足を踏み入れた瞬間ロープの反対側を引っ張ると、彼我の体重差は関係なく設置されたバネの魔法が発動して設置した木にビッグボアの足が釣り上げられる寸法。
「ねぇリザ、ボアの足の大きさってどのくらいにすればいいんだろ」
「習ったのはもっと小さい動物やモンスター用だよねぇ。普通のボアサイズっていうか。だからうーん倍くらい?」
「うまくはまらなかったら危ないよね」
「ていうかこの罠、よく考えたらすっごく危険な気がするんだけど。えっと、囮ってリザがやるんだよね?」
「ええと」
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