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「あの、一体何が?」
「いや、リザがコケてバカみたいに固まってるからさ、飛び出すしかないじゃん」
「うあ、ありがと」
「それでさ、私の力で切っても弾かれるだろうけど、ビッグボアの自重で自分で剣にささって来たら倒せるかと思ってさ。心臓のあるあたりに剣を置いてみたの。クリーンヒットした、んだよね、よかった。よかった、本当に、よかった、ふえ」
ビッグボアが倒せた。
おお、なんということでしょう。そうするつもりだったけれど、目の前にすると信じられない。こんなにでかい。背丈は4メートル、体長は7メートルはありそうな。到底勝てるサイズじゃない。
でもでも私たちは死にかけて、そして生き残ったのだ。
その突然の緊張の喪失と喜びと驚きと色々なものが去来して、馬鹿みたいに2人で抱き合って号泣してしまった、のは村の皆には秘密だ。
「それにしても本当に、私たちで倒せたんだよね?」
「う、うん。ミレル凄い。えっとでも、どうしよう、これ」
「持って帰れない、よね。どう考えても」
改めて見るとそのビッグボアはでかすぎた。聞いてた話と全然違うじゃあないか。
それでとりあえず片足だけ切り落として証にして、それでも凄い重量だったのだけど、村の皆に知らせて戦える人総出で素材を回収に戻ってきた。
どうやらそれは奥の森のビッグボアの中でも森の主ともいうべき存在で、誰も倒せないモンスターだったとか。
私らは皆にスゲェといわれ、親とギルドの先生には馬鹿と頭を引っ叩かれて、その日は村を上げてボア祭り。
普通のボア肉よりもっと旨いビッグボア、よりもっと旨い森の主ボア。
けれどもくたくたの私とミレルはいつのまにかくてっと眠ってしまったその翌日。
「ハッピーバースデーカルロ!」
「おめでとうカルロ!」
「ありがとうありがとう!!」
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