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【 エピローグ:俺たちのソウル! 】
解散ライブが成功するかなんて分からない。
でも、自分たちにしかできないライブをやりたい。
俺たちだけの音で、俺たちだけのメロディーで、観客を震わせたい。
俺たち四人の熱い魂をみんなに届けるんだ!
いつもライブ当日、ゴン平は、俺にこう言う。
「ちょっと昨日食べ過ぎちゃって、お腹痛くて、うまくドラム叩けるかな~? ちょっとトイレ行ってくる。あっ、大きい方ね~」
多分、また解散ライブの時にも、直前にライブ会場のトイレに沢山出すんだろう。
そして、凪も。
「失敗した。昨日、爪切り過ぎた。いつもの感覚が掴めない。あっ、弦緩め過ぎたかな。モニターの位置も気になるな。照明が眩しくて手元が……」
神経質な凪は、自分の演奏が失敗した時の言い訳を、また事前に振りまくキャンペーンを実施するに違いない。
あと、問題外の未来も。
「昨日、お兄ちゃんにライブやるって言ったら、頑張れって言ってくれたんだよ♥ ほら♪ それでね、その後お兄ちゃんが私に……」
相変わらず未来は、ライブの緊張感よりも、お兄ちゃんのことしか頭にないか……。
食べ過ぎスローテンポな、ドラムのゴン平。
いつも冷静で神経質な低音ボイス、ベースの凪。
謎のブラコン猫ちゃん、キーボードの未来。
そして、一番まともな、ギター兼ボーカルの俺。
でも、みんないいやつ……。
だから、きっと届くはず。
俺たちの魂が。
みんなに……。
俺たち四人にしかできないこの音で。
このメロディーで。
そして、今しかない青春のソウルで。
~アオイロ・ダイナマイト!~
(了)
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