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 治安維持部隊。それはユニオンの土地と民を外敵から守るための自治組織。もともと有志が勝手に集い結成した荒くれ集団だったが、数年前に区長が替わり、同時に隊長が替わったことで正式にユニオンの公認組織となった。もっとも、区長も隊長も同一人物なのだから“公認組織となった”というよりは“役所を乗っ取った”が正しいのだが。  正門から見える一番大きな建物が本部だ。その二階、階段上がって左の廊下の奥にある部屋からコーヒーの香りが漂う。部隊の隊長であるKはまだ眠たい脳を無理矢理起こしながら仕事モードに入っていた。  Kは建物の圧迫感とは正反対にヘラヘラした笑みを絶やさない。リーダーと言うよりはむしろトリックスターと言う方が的を射ている、というのが誰もが抱く第一印象だ。長めの金髪から覗く水色の目隠しと、左頬に入った縦三本のペイントが口元に視線を誘導する。だから余計にいやに口角が上がっているのが目につくのだ。何を考えているのか分かったものじゃない。  コンコンコンと三回ノックがあり、少年が隊長室に入ってきた。少年は黄緑色の髪を後ろで雑に結わえている。表情は固く、一切変化しないために年齢や性格を推量ることが難しい。それが、部隊の情報管理を任されている、ティルだ。
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