ペトリコールシネマ

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「当劇場では、チケットではなく、その作品に合った香りの香水を購入していただくことになっています。 それを体につけていただくことで、入場できる仕組みとなります」  目の前のスタッフはさも当たり前のように抑揚のない声で説明する。 なるほど。これが一風変わった映画館ということか。 先ほど感じた違和感は、匂いが原因だったようだ。  振り返ると、入場する人たちが全員香水を振っていた。 香水といっても一振りで終わってしまうような小さな小さな小瓶だ。 チケットもぎりのスタッフが、匂いを嗅いで各スクリーンへ案内している。 わざわざ目で見なくても確認できるし、手でもぎる必要もない。 変わってはいるが、意外とこれは画期的なのかもしれない。  さまざまな作品が上映されているため、当然匂いも混じり合う。 ただ、不思議と不快な匂いはなかった。 それぞれの相性がいいのか、上手い具合に混じり合っている。
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