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「ねーねー、ママぁー! あのねぇー」
二人で話している所に、詩歌と新が揃ってやって来た。二人とも神妙な顔をしている。先程まで玩具をガチャガチャさせている音が隣から聞こえて来ていて、楽しそうに遊んでいたのに何かあったのだろうか。
「パパ。これ、ぼくのママのおみみのやつだよねー? しーちゃんママのだよって、しーちゃんがいうんだけどさあ」
新が摘まみ上げて篤に見せたものは、例のホテルから送られてきた良平の愛人のピアスが入ったジップ付きのビニール袋だった。
「らって、しーのたぁらものいれ(たからものいれ)に、はいってたもん! これ、ママのだよねー?」
宏美は息を呑んだ。このピアスは良平に見つからないようにと、詩歌の使わなくなったおもちゃ箱の底に片付けたものだった。
クローゼットの一番下に閉まってあるこの箱の場所を詩歌は知っていたから、勝手に開けてしまったのだ。
篤は背筋に冷たいものが走るのを感じた。確かに目の前にあるのは、百合が何時も付けていた彼女のお気に入りのピアスの片方だ。最近失くしたと、家じゅうを探し回ったばかりだ。どうしても見つからなかったあのピアスが、今、目の前にある。
「どうして・・・・宏美さんが、僕の妻の無くしたピアスをお持ちなのですか――」
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