第1部

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---------- 『彼女とたわいのない話をしていると、爆発音が聞こえました。人々の叫び声も。前方からです。エスケープ越しでは音源が良く分かりません。「エレン! 気を付けて! 身を守って!」あの時は、とにかく冷静にならなければと思っていました』 ──グース・ホプキンスJr. ITジャーナリスト 『覚えているのは、「爆弾だー!」という男性の声です。その声と同時に、コンベンションセンターのゲートが、炎とともに吹き飛びました。あたしはパニックになりました。引き返そうにも、足がすくんで動けませんでした。どうして? あたし死ぬの? パパー!』 ──エレン・E・ローヴ ITジャーナリスト 『マップを起動させました。エスケープなら、ハンドトラッキング(ジェスチャーのこと)でアプリが立ち上がります。空間に浮いた地図をタップすると、即座にルート検索が始まりました。彼女に叫びました。「エレン! 動いて! 50㍍先に地下鉄の駅がある!」』 ──グース・ホプキンスJr. ITジャーナリスト 『自分の名前が叫ばれていると気付くまで、5秒かかりました。爆発の火の粉は猛虎のようです。彼が「動いて!」と言うので、ハッと我に返り、なんとか自分の両足を動かしました。向かってくる煙に巻き込まれないよう、全速力で駅に向かいました。あんなに走ったのは、中学校のリレー以来です!』 ──エレン・E・ローヴ ITジャーナリスト
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