美文字の魔法

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 私の文字には催眠効果があるようだ。心の泉に良く響く。いつしか酔ったような気分になる。それを美文字酔いと私は呼んでいる。実は私自身も酔うのだから、あなたが酔ったとしても何も不思議なことはない。もちろん個人差があるので全員酔うことは期待していない。このような酔いは他人の文字から得られないので、私にしかできないことのようだ。  こう書いてみると、美文字酔いは自己陶酔のように思える。自分の長所や魅力を文字にして酔っているというわけである。これだけでも心の渇きは充分潤う。自分の心の渇きを潤すことが出来てこそ、他人の心の渇きを潤すことが出来る。実際、心の渇きを潤す魔法は完成している。  まず、心の泉を意識する。目に見えるわけではないので、泉をイメージするだけでよい。泉の表面に水滴が落ちて音を奏でる。それを感じることで心の渇きが潤っていく。この水滴が文字なのである。長所や魅力を表した文字なのである。奏でられる音が美しく感じられるとき、その文字は美文字になる。以上のことを自分の心の泉で試してみて、次に他人の心の泉で試すわけである。  ここまで書いてしまうと真似する人が現れるかもしれないが、それは構わない。今は、知性の渇きを潤す魔法を開発している。今後この本を連載していく楽しみがある。
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