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カフェデート
「? 先輩?」
後ろから先輩の何か言う声が聞こえたが、うまく聞き取れなかった。
「なんて言ったんですか?」
「ん?なんでもないから気にすんな」
そう言って僕の横にくる叶翔先輩。
……やっぱり先輩って身長高いな。
身長差が僕の頭1個半くらいある。
僕がじぃーっと見つめているからか、「なんだ?」と叶翔先輩に聞かれた。
「いや、先輩って身長高いなって思いまして」
「身長か。確か175はあったぞ。結構前に測ったから、いくらか伸びてるみてぇだけどな」
「えぇ!いいな、羨ましい…」
「そうだな、あぐらかかずに椅子に座ると身長が伸びるらしいけど……」
先輩はちらっと僕の方をむくと、少し黙る。
「……?」
「春月はもう無理なんじゃねぇ?」
ニヤニヤしながらそういう先輩に、僕は負けじと言い返す。
「そっそんなことないです!来年になったら先輩越してるかもですよ!」
「へぇ?後何センチ伸ばさねぇといけねぇのかな?」
「じゅ、15センチくらい……」
「……諦めろ」
「…はい」
これだけ身長差があるなんて。
傍からみたら俺たちはきっと兄弟みたいなもんだろう。
もう少し身長欲しいな。
そしたら先輩の顔もっと良く見えるし……。
と考えてると、落ち込んでると思ったのか「俺は春月くらいの身長可愛いくていいと思うけどな」とフォローしてくれた。
「へへ、先輩が可愛いって思ってくれるならこのままでもいいですっ」
僕は先輩に可愛いと言われたのが嬉しくて、素直にそう答えた。
「……」
あれ?「そうかよ」って笑ってくれると思ったのに。
先輩は僕の予想してた反応とは違って、何も言わずに歩いている。
……僕キモかったかな。
めんどくさいって思われた?
嫌われたかも。
ドクドクと心臓の鼓動が速くなった。
ネガティブに考えてしまうと、ズルズルとダメな方に考えてしまう。
さっきまで笑い合って会話が絶えなかったのに、打って変わってシーンとしている。
「あの、」
「ん?」
「やっぱなんでもないです」
「なんだよそれ」
フッと先輩が笑う。
よかった。笑ってくれた。
僕のこと嫌いになってないかな…。
不安になってチラチラと先輩の方を見るが、目は合わない。
「あ、」と先輩が思い出したように口にした。
「そういえばここの近くにカフェあるよな。行ったことあるか?」
「え、あ、カフェですか。多分ないです」
カフェ?急にどうしたんだろう。
「そうか。今から行かねぇ?春月が時間あるなら」
「えっ!行きたいです!」
そう言うと、ニコッと笑う叶翔先輩。
カフェに誘われるってことは、嫌われてない?
嫌いな人とお出かけしないもんね。
僕はほっとして息を吐いた。
ん、待てよ?
これってもしやデートなのでは……!?
僕がそう思ってると、「なんかデートみたいだな」って笑う先輩。
先輩も同じこと考えてくれてたんだ、と嬉しくてついにやけてしまった。
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