遅刻して来た人は。

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遅刻して来た人は。

何とかギリギリでチャイムがなる前に席につくことが出来た。 ほっとしていると、いつも一緒にいる隣の席の友達_____小鳥遊 壱生(たかなし いっせい)くんが「おはよう」と声をかけてきた。 「おはよう」と僕も笑顔で返す。 壱生くんは、僕の数少ない友達だ。 入学してから2年続けて同じクラスで、出席番号が近かったため話しかけて来てくれた子だった。 僕と違って運動神経がいい彼は、体育委員長や体育祭実行委員をしたりとクラスで目立つ立ち位置だったりする。 スポーツできて頭も良くてイケメン。さらに性格もいいなんて。 凄いな、壱生くんは。 僕はひっそり壱生くんに憧れていたりする。 …恥ずかしいから本人には内緒だけどね!! 「今日はえらくギリギリだったな。朝から小宮先輩と話してたからか?」 「んぇ、壱生くん湊翔先輩知ってるの?」 僕は壱生くんが湊翔先輩を知っている事に驚いた。 やっぱり、あれだけイケメンだと有名になるんだろうか。 知らなかった僕が珍しかったのかもしれない。 「知ってるも何も有名だぜ。兄の湊翔先輩は生徒会に入ってるしな。ファンクラブまである」 「おぉ…。そうだったんだ」 「ん。そんで、なんで春月は小宮先輩と話してたんだ?」 「んー、まぁちょっと色々あってね?困ってる所を助けてもらったんだ」 「ふーん…」 壱生くんは持っと詳しく知りたそうだったけど、先生が入ってきたから前を向いた。 先生、ナイスタイミング…!! 僕は先生に「大好きですっ」と愛を込めた目線を送っておいた。 「…?なんか胸がドキドキするような…。気のせいか。 えー、今日は後ろの黒板に書いてあるように半日で終わりだ。寄り道してもいいが、ハメ外すなよー。学校帰り遊んでいて死にましたとか笑えないからな。んじゃ、きりーつ」 やる気なさそうな先生の話が終わり、早速1時間目の授業の準備に取りかかった。 1時間目は現文か…。 わからない意味とか調べてるし問題ないな。 授業が始まっても、なかなか集中できなくて外ばっかり見てしまう。 僕は窓側の席だから、グラウンドがよく見えるのだ。 じーっと外を眺めていると、既に施錠が終わっている校門のアーケードに飛びのって軽々と学校に入ってくる男の人の影が見えた。 あの人遅刻でもしたのかな…? まぁ、この学校緩いし人数多いからなぁ。 途中で誰か来ても先生は気付かない。 その人は堂々とグラウンドの真ん中を歩き、遅刻してきたのを隠そうともしなかった。 さすがに堂々遅刻したらバレるんじゃ…。 と思いその人を見ていると、その人とバチッと目があった。
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