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「んじゃ、俺達も帰るか。荷物取ってくるから玄関で待ってろ。家まで送ってやるよ」
「いいんですか?」
「あぁ。お前がまた襲われたらって思うと心配だからな」
そう言ってさっさと屋上から消えてしまった先輩。
その姿が見えなくなっても、僕はただそこを見つめていた。
……えぇぇぇ!!!!!
待って、急展開過ぎない!?
確かに毎日会えたら幸せだろうなって思ってたけどっ。
明日から毎日一緒にご飯??
今日は家まで送ってくれる?
「はぁぁぁぁ、僕の心臓持つかな…」
隣にいるだけでドキドキして死にそうなのに…。
先輩はずるい。
どんな表情をしても、どんな言葉を発しても僕をときめかせる。
あー、早く先輩の恋人になりたい。
僕じゃ釣り合わないってわかってるけど、奪われたくない。
さっきみたいに、僕をその綺麗な瞳に映していてほしい_____。
気が付くと、先輩が屋上を出てから時間が経っていた。
やば、早く行かないと待たせちゃう。
僕は急いで階段を降りて玄関に向かったが、既にそこにいた先輩に「おせーよ」と言われてしまったのだった。
「一旦荷物取りに寄った俺より遅いってどーゆー事だよ」
笑いながら靴を履き替える先輩に、「すみません、ちょっと考え事してました」と答える。
「僕も履き替えて来ますね」
そう言って2年生の靴箱へ行き、靴を履き替えていると「よぅ」と声をかけられた。
「あ、壱生くん!」
「おつかれ」と言いながら彼も靴を履き替えている。
「お疲れ様。今から部活〜?」
「あぁ。試合近いからな。先輩ももう少しで引退しちまうし、もっと上手くならねぇと」
そういう壱生くんは、バスケ部に所属している。
エースと言われていて、次のバスケ部部長はきっと彼だろうなと思う。
「そっかそっか。頑張ってね!壱生くんのバスケしてるところすごくかっこいいし、きっとまたファンが増えちゃうね」
そう言って笑うと、壱生くんも嬉しそうにニシシ。と笑った。
「おぅ!あんがと。春月にカッコイイって言われるのが1番うれしーわ」
「えぇ、そんな1番だなんて」
僕なんかがもったいない、と言うと壱生くんは「そんなことねぇよ」と返してくれる。
しばらく壱生くんと話していると、叶翔先輩が2年生の靴箱まで様子を見に来ていることに名前を呼ばれて気付いた。
「春月」
「あっ、先輩待たせてごめんなさい」
僕は急いで叶翔先輩の方へ駆け寄ると、壱生くんに「またね」と手を振り、玄関を後にした。
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