〜叶翔side〜

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〜叶翔side〜

注文を終えると、春月はびっくりしたような顔をしていた。 ん?あぁ、俺がストロベリーチーズケーキ頼んだことに驚いてんのか? 「食べたかったんだろ?」 ずっとパフェとチーズケーキのページ行ったり来たりしてたからな。 さすがにわかるぜ? 俺は笑って言った。 「顔に書いてあったから。俺もちょうどストロベリーチーズケーキ食いたかったし、1口交換な」 そう言うと、余程嬉しかったのか春月はニコニコと笑って「はいっ!ありがとうございます」と言った。 あぁぁぁぁ可愛い。 ホント可愛い。 春月って天使の子かも。 春月は俯きがちなところがある。 だから俺が結構春月を見つめていることを本人は知らないだろう。 今回もしばらく春月見つめていると、「それでも負けない」と急に口にした。 「何に勝ちたいんだ?」 俺は気になって聞いてみた。 ゲームの話だろうか。 全く予想がつかない。 「ふぁ?」 俺に聞こえていないと思ったのか、抜けた声を出す春月。 そこも可愛いが俺は何に負けたくないのか知りたかった。 「いや、さっき"負けない"って言ってただろ」 「なんでもないです」と春月に誤魔化された。諦めが悪い俺は、わざとしゅんとして「教えてくれないのか?」と言ってみた。 こんなんキャラじゃねぇけど、春月のことならなんでも知りたい。 春月は俺に甘いとこあるしな、答えてくれるかもしんねぇ。 やはり効果はバツグンのようで、『言ってもいいのか。いや、でも…』とグルグル考えている春月が目に入る。 やっぱり何をしても可愛いな、と思いつつ返事を待っていると、頼んでいたものが届いた。 パフェを見るや否や春月は目をキラキラと輝かせ、「わぁー!美味しそうっ!可愛い!」とはしゃいでいる。 可愛い。可愛い。可愛い。可愛い。可愛い。 このまま家に連れて帰りたい。 そのぽわぽわした笑顔も、少し間抜けな顔も全部が愛しい。 ただただ可愛い春月を見つめていると、他の客達も春月に見蕩れているのがわかった。 チッ、見てんじゃねぇよ。 こいつは俺のだ。 そいつらを少し睨むと、ハッとしたように目を逸らした。 ……やっぱり春月は危ねぇな。 少し目を離すとかっさらわれそうだ。 早く俺のもんにしねぇと。 今も嬉しそうに「くまくま♪」とか言いながらパフェを食べている可愛い天使に頬を緩ませながら、少し考える。 春月は、誰といてもこんなに無防備な姿を晒すのだろうか。 悪いやつにすぐ捕まってしまいそうだ。 ここに来るまでに春月がした『へへ、先輩が可愛いって思ってくれるならこのままでもいいですっ』という発言も俺を悩ませた。 正直言ってやばい。 その時はにやけすぎて顔が破壊しそうなのを頑張って堪えたし、手を出すのも我慢した。 もうほんとに褒められていいレベル。 人目がなかったら無理やりキスをしてしまいそうなほど可愛いかった。 照れたように細められたその目も、小さな鼻も、プルプルと柔らかそうな唇も、全力で俺を誘っていた。 まぁ、本人にその気がないのは百も承知だが。
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