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「ところで春月。さっき言いかけてたことなんだけどよ」
「はい!1口くれってことですよね?」
「え?いや、そうじゃなかったんだけどな」
「えぇ!僕先輩もパフェ食べたいと言うのかと思って、おすそ分けしたんですけど…」
違ったんですね、としゅんとしてしまった春月に、『可愛いぃぃ』と悶えながら平然と「パフェも美味かったぞ、ありがとな」と言いながら頭をなでなでする。
俺になでなでされるのが気持ちいいのか、子犬みたいに見えないしっぽを振って目を細める春月。
充分ヨシヨシして満足した俺は、また席についた。
まだ手を付けられていないストロベリーチーズケーキを1口大に切って、春月にあーんしてやる。
「春月。口開けろ。ほら、あーん」
俺今きっとすっげぇ甘い顔してんだろうな。
春月と出会う前は、こんなに人を好きになれるなんて思ってなかったけど。
こんな甘い日も、中々悪くねぇ。
春月は恥ずかしそうにプルプルと震えながら、小さい口を精一杯開けてあーん待ちしている。
俺はケーキを刺したフォークを春月の前まで持って行って__________。
わざと春月にはあげずにパクッとチーズケーキを自分の口に入れた。
「ん、美味いなこれ」
ニヤッと笑ってそう言うと、春月はまたプルプルと震える。
「っ……!!!」
「せんぱいのいじわるぅぅぅぅぅ」と呟いてうつ伏せになる春月は、すんごく可愛かった。
めちゃくちゃ可愛かった。
男10人相手にしても負けない俺が、今の春月には余裕で負けるだろう。
俺は堪えきれずに涙が出るまで笑ったあと、「すまんすまん」と謝ってもう1回1口サイズにケーキを切る。
フォークに刺して、「次はちゃんとやるから。な?」と春月の口元近くまで持っていく。
春月はむぅっと口を尖らせながら、こっちを見ている。
「あー、俺が使ったフォークは嫌か?さっき口は付けねぇように気をつけたんだけどな」
「……いえ、だいじょぶ、です」
そう聞いて俺はチーズケーキを春月にあーんした。
「どうだ?美味いか?」
春月はぱぁぁぁぁと明るくなって、「おいひいでひゅ!(美味しいです!)」と答えた。
「そうか」と笑って言うと、春月もニコッとする。
俺たちどっからどう見ても恋人じゃね?
……この様子だと告っても振られなさそう。
いや、でも先輩のこと兄みたいだと思ってます、なんて言われそうだよなぁ。
一応、伝えてみるか。
反応がイマイチだったらからかっただけって言えばいいし。
どの道無理やりにでも好きにさせるしな。
「春月。いきなりだが、聞いてくれるか?」
春月はこくん、と頷くと真剣な顔で俺を見つめた。
「_____好きだ。付き合ってほしい」
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