〜叶翔side〜

3/3
前へ
/82ページ
次へ
「ところで春月。さっき言いかけてたことなんだけどよ」 「はい!1口くれってことですよね?」 「え?いや、そうじゃなかったんだけどな」 「えぇ!僕先輩もパフェ食べたいと言うのかと思って、おすそ分けしたんですけど…」 違ったんですね、としゅんとしてしまった春月に、『可愛いぃぃ』と悶えながら平然と「パフェも美味かったぞ、ありがとな」と言いながら頭をなでなでする。 俺になでなでされるのが気持ちいいのか、子犬みたいに見えないしっぽを振って目を細める春月。 充分ヨシヨシして満足した俺は、また席についた。 まだ手を付けられていないストロベリーチーズケーキを1口大に切って、春月にあーんしてやる。 「春月。口開けろ。ほら、あーん」 俺今きっとすっげぇ甘い顔してんだろうな。 春月と出会う前は、こんなに人を好きになれるなんて思ってなかったけど。 こんな甘い日も、中々悪くねぇ。 春月は恥ずかしそうにプルプルと震えながら、小さい口を精一杯開けてあーん待ちしている。 俺はケーキを刺したフォークを春月の前まで持って行って__________。 わざと春月にはあげずにパクッとチーズケーキを自分の口に入れた。 「ん、美味いなこれ」 ニヤッと笑ってそう言うと、春月はまたプルプルと震える。 「っ……!!!」 「せんぱいのいじわるぅぅぅぅぅ」と呟いてうつ伏せになる春月は、すんごく可愛かった。 めちゃくちゃ可愛かった。 男10人相手にしても負けない俺が、今の春月には余裕で負けるだろう。 俺は堪えきれずに涙が出るまで笑ったあと、「すまんすまん」と謝ってもう1回1口サイズにケーキを切る。 フォークに刺して、「次はちゃんとやるから。な?」と春月の口元近くまで持っていく。 春月はむぅっと口を尖らせながら、こっちを見ている。 「あー、俺が使ったフォークは嫌か?さっき口は付けねぇように気をつけたんだけどな」 「……いえ、だいじょぶ、です」 そう聞いて俺はチーズケーキを春月にあーんした。 「どうだ?美味いか?」 春月はぱぁぁぁぁと明るくなって、「おいひいでひゅ!(美味しいです!)」と答えた。 「そうか」と笑って言うと、春月もニコッとする。 俺たちどっからどう見ても恋人じゃね? ……この様子だと告っても振られなさそう。 いや、でも先輩のこと兄みたいだと思ってます、なんて言われそうだよなぁ。 一応、伝えてみるか。 反応がイマイチだったらからかっただけって言えばいいし。 どの道無理やりにでも好きにさせるしな。 「春月。いきなりだが、聞いてくれるか?」 春月はこくん、と頷くと真剣な顔で俺を見つめた。 「_____好きだ。付き合ってほしい」
/82ページ

最初のコメントを投稿しよう!

182人が本棚に入れています
本棚に追加