告白。

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告白。

「好きだ。付き合ってほしい」 そう先輩に言われて、僕は数回瞬きをする。 「……へ?」 「まだ知り合って間もないし、想いを伝えるのは早いかと思ったんだが…。春月を誰にも渡したくねぇ。俺の恋人になってくれるか?」 そう真剣な顔をして言う叶翔先輩に、胸の鼓動が速くなるのを感じる。 「え、と……」 なんて答えたらいいのかな!? よろしくお願いします? 僕も先輩が好きでした? 考えすぎて、クラクラしてくる。 ドッキリとかじゃないよね!? 冗談でした、なんて言われたら僕泣くよ?? 「あー、春月は恋人いるのか?もしそうだったら……」 「いないです!!」 「そうか。じゃ、好きな人は……?」 「好きな人、は」 僕が好きなのは、叶翔先輩。あなたです。 初めて好きになった人。 ドキドキして苦して、でも嬉しくて。 可愛くてかっこいい、大好きな人。 嫌われたかな、とかすぐ思っちゃって、どうしようもない人。 どんな人よりも、大切な人。 僕ばギュッと拳を作って、何とか声を絞り出した。 「僕の好きな人、叶翔せんぱい、です」 よしっ!言えた!!! 僕ちゃんと言えたよ!! 僕の声は、叶翔先輩に聞こえただろうか。 僕の想いも知って欲しい。 それで、もし嬉しそうに笑ってくれたなら。 それ以上僕にとって幸せなことはないだろう。 恐る恐る顔をあげると、叶翔先輩はポカーンとした顔をしていた。 え、伝わらなかった? もう1回言った方がいい?? 「あのっ、僕も叶翔先輩が好きです!」 「……」 返事が来ない!!! なんで!? もっと大きな声で言うべきなのかな、? 恥ずかしいけど、叶翔先輩も伝えてくれたんだから頑張らないとっ、 「叶翔先輩が好きで!!!!「わかった!!」」 僕の一世一代の告白は先輩の声にかき消された。 「わかったから、そう何度も言うな」 先輩はそう言いながら口元を手で隠している。 耳まで真っ赤に染まって、照れているようだ。 「っ」 あんなにドキドキさせるようなこと余裕でして来た人が照れてる……!? レアだ!激レアだ!!! 可愛い、写メりたい……! 僕がじぃーっと叶翔先輩を見つめていると、急に目の前が真っ暗になった。 「そんなに見るな、馬鹿」と言う先輩の声が聞こえて、あぁ、先輩が僕の目を手で覆っているのかと理解した。 「ふふっ、先輩照れてる」 「うるさい」 僕は先輩の手を頑張って退かすと、先輩の大きな優しい手にチュッとキスをした。 「へへっ、あーんの仕返しです!!」 そう言ってドヤァと効果音がつきそうなドヤ顔をすると、叶翔先輩が大きなため息をついた。 えぇ、ため息つかせちゃった! どうしよう、怒ったのかな? 僕やり過ぎた? あわあわとしていると、唇にぷにっと柔らかい何かが触れて、離れた。 「んぇ」 びっくりして固まった。 その柔らかい何かの正体が先輩の唇だったということを知った瞬間に僕がぼっっっと顔を赤くしたのは言うまでもない。
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