占いBarの日常

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占いBarの日常

ぎぃ~・・・バタンツツ!! 「ねぇ~聞いてよ~!!美鈴さ~ん!!・・・」 わぁーっっっ・・・ あー。またこの子かぁ。。。 突然入って来るなりカウンターに突っ伏して彼女は泣き出してしまった。 この子の来店の仕方は、 まぁ、なんというか・・・ 心臓に悪い。 ここは占い師の美鈴(42歳バツ2)が営む占いBar。 占いをしながらのんびり営業・・・している・・・はずだったのだが・・・ ここのところ・・・この子が来るようになってからかもしれない・・・ なんだか・・・気ぜわしい。 そして今もまだ開店前の準備中で、 今日はお通しのポテトサラダを仕込んでいるところだ。 「もぅ、いきなり・・・どうしたのよぉ~・・・」 美鈴はこの開店前の来客、「咲(さき)28歳・独身)に 声をかけると同時に電子ケトルのスィッチを押す。 気持ちを落ち着かせるハーブティを淹れてやろうと思う。 (まずはね・・・ここでアルコールなんか飲み始めた時には どうなるか・・・ん-、これは今日は接客どこじゃなくなるかも・・・) とりあえずのお水とティッシュをボックスごと差し出したところで やっと咲は顔をあげた。 「あのね・・・あのね・・・・」 なかなか話が始まらない。 「隼人くんのこと?」 「えー!!美鈴さん、なんでわかるんですかぁ~??!!」 「わかるわよぉ。だいたいそんなことかと・・・」 「さすが美鈴さん占い師だけあるわぁ~!!」 (いや・・・年頃の女の子が泣いてるなんて、恋愛相談が十中八九やねん・・・(←関西人ではない)) 「で??」 「美鈴さん!!とにかく占って!!隼人、絶対浮気してる!!」 「隼人くんが??浮気??」 (そんな子じゃないとは思うんだけどなぁ。。。) 「なんでそう思うの?」 「だって、このGW中、一日も私と会ってくれなかったんだよ!! いや、会ったは会った。。。一時間ぐらい・・・この間の出張で行った 東北のおみやげを渡されて・・・また明日から出張だから、って 帰っちゃったんだよ??ねぇ、私ってなに??」 ぐすん・・・ひっ・・・ひっ・・・ 「あら~それはひどうわねぇ・・・私から隼人くんにくぎ刺しておく?」 隼人は以前このBarでアルバイトをしていた時がある。 そこで常連客だった咲と知り合って付き合いはじめて・・・あれが一昨年の クリスマスのあたりだったから、ん-、1年半ぐらいの付合いで、そろそろ年齢も年齢だから、咲の方は結婚も意識していただろうしなぁ・・・ 「うん・・・とにかく・・・占って・・・隼人の気持ちが知りたい・・・ヒック」 あ~、こりゃ、今日は営業出来ない・・・かな・・・ うん・・・とりあえず看板は出さないでおこう。 仕込み途中のポテトサラダの材料を各々仕舞い、 冷蔵庫に入れ、 ハーブをポットに入れるとお湯を注いだ。 「うん、わかった、いいよ。今日は咲ちゃんに付き合うね」 「ありがとう、美鈴さん・・・ウッ」 「カード準備するから、ちょっと待っててね」 「ありがとう・・・グスッん」 「ま、とりあえずこれ飲んで落ち着いて」 咲の前に淹れたハーブティを置いて、 自分はタロットカードの準備にとりかかる。 さて、今日はどのカード使おうかな・・・・ 咲の言ってることも勘違いかもしれない段階だし、 なんといってもBarの営業時間もあることだから、 今日のところはオーソドックスなカードでいくとするか! 美鈴は占い用のマットを広げ、 カウンター越しにタロットカードをシャッフルする。 さて、どんなカードが展開されるのだろう。
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