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「亜香里姉、行って来たよ」「ご苦労さん」そう言った亜香里は
首を左右に傾けると、大きく伸びをして、パソコンの前から離れ
「ちょっと体を解すか、相手をする?」と、聞く。
「良いよ、俺も、そう思っていたんだ」誠也と亜香里は、隣の部屋に行く。
その部屋には、スポーツジムでよく見る道具が、沢山有った。
その真ん中の、広い空間で、対峙した二人は、礼をすると
ぱっと離れて、身構える。
父親が、警察に勤めている関係で、誘拐などを恐れた両親は
亜香里が子供の頃から、護身術を、習わせていた。
勘が良いのか、直ぐに上達し「もう、教える事は無い」と、先生に言われた。
それからは、従弟の大翔を相手に、いろいろな流派の、良い所を取り入れ
自分流の技を開発して行った。
誠也が、まだ子供の頃、亜香里が、大の男5人を、あっという間に
倒した所を見て「凄い!!」と、すっかり亜香里に心酔してしまったのだ。
亜香里の世話係になり、亜香里の相手をしているうちに
強かった誠也は、さらに強くなった。
亜香里の、渾身の攻撃を、さらりと交わす「やるじゃん」
「あったり前だよ、これ位じゃ無いと、亜香里姉は、守れない
今度は、こっちから行くぞっ」誠也が、攻撃をする。
それを、がっちり受け止め「まだ、まだっ」と、亜香里が反撃する。
たっぷり一時間、戦った二人は、シャワーで汗を流し、冷たい水を飲む。
「あ~すっきりした~」亜香里は、またパソコンの前に座った。
その頃、西條たちには、動きが有った。
由紀が、ボストンバックを下げて、部屋から出て来たのだ。
「徒歩だな、という事は、あの喫茶店か?」車で出た三人は
由紀より先に、喫茶店に付き、西條だけが、店に入って、珈琲を注文した。
石田と木島は、喫茶店の駐車場で、待機する。
その二人に、西條からのメールが届く。
「この前の奴が居る」どうやら、由紀と待ち合わせている男は
もう来ていて、由紀を待っている様だった。
この状態は、直ぐに師岡に知らされた。
「相手に知られる事なく尾行しろ、絶対に取り逃がすな」
師岡は、部下に命令した。
部下は、二台の車で現場に急行し、喫茶店側と、向かい側の道路に待機した
男がどっちに行っても、直ぐ追える様に。
由紀が来て、男にボストンバックを渡し、家に帰って行く。
男は、この前と同じく、タクシーを呼んで乗り込み、走り出した。
その後を、西條たちと、師岡の部下たちが追う。
男は、駅に行って、コインロッカーに、由紀から受け取ったバックを入れ
鍵を、ロッカーの上に、テープで固定すると、その場を離れた。
待ち構えていた、師岡の部下が、その男を取り押さえる。
西條たちは、大急ぎで、コインロッカーを開け、バックの中身を確認すると
自分たちが持って来た物と、入れ替え、また鍵をして、鍵も元通りにする。
そして、そのコインロッカーを、なおも見張る。
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