ガバラとギグル

9/9
前へ
/99ページ
次へ
一息ついて、ハウスを見に行くと、美海と、西城も手伝いに来ていて せっせと働いていた「美海、久しぶり!!」 「あ、聖ちゃん、またマウス病のために、頑張ってるんだって? 昨夜も、徹夜だったんでしょ、身体、大丈夫?」美海は、聖たちの事を 村人たちに聞いて、身体の心配をしてくれた。 「うん、大丈夫!!身体だけは、頑丈だから あ、西城さんも来てくれたのね、有難う、今日は非番なのね」 聖は、西城にも、声をかける。 「ええ、美海さんに、師範からの言伝を伝えに行ったら 今から美里村に行くと言うので、一緒に来たんです」 「それで、そのまま手伝ってるって訳ね」 「マウス病、撲滅のために、私も、少しでも力になりたくて」 西城は、畝の横に、肥料を漉き込みながら、そう言い 「師範は、まだ帰れないご両親の代わりの、社長業が忙しくて 聖ちゃんに会ったら、よろしくと、言っていました」と、言う。 美海の両親は、折角カロナーが収まって、帰ろうとしていたのに マウス病が流行った為に、まだ帰れないんだと言う。 「父は、そう言うけど、それは、ただの言い訳で、本当は兄に このまま、社長業務をさせたいみたいなの」美海は、笑いながら言う。 私の体の秘密を知る、たった一人の人間、大翔。 その大翔の、爽やかな笑顔も、久しく見ていないな~ 聖は、そう思うと、大翔に会いたくなった。 でも、今は、そんな事より、鼠の救済と、ガバラ退治が先だ 全てが終わったら、ゆっくり、会いに行こう、聖は、気持ちを切り替える。 その日の夜は、アメリカの港町を中心に、薬を撒きに行く。 アメリカの大都市は、夜でも眠る事を知らない。 そんな都市には、夜明け前の、わずかな時間に、三人揃って一気に撒く。 こうして、毎晩、感染者が多い街から、順に撒いて行った。 一方、ガバラは、気配が消せる洞窟内で作った、眠り薬を ギグルが作った蝙蝠獣魔に持たせ、島に居る猪や鹿に食べさせ、眠らせて 自分たちが居る洞窟内に連れ込ませた。 その猪や鹿を作って、ギグルが、獣魔を作り 作った獣魔を、さらに吸い込んで、強い獣魔を十数頭、作っていた。 まだ、ギグルの身体は、本調子では無かったので、一頭作るたびに 一日ほど、休まなければならなかったが、、 「この島に居る獣は、猪と鹿しかいないからな~しかも、これで全部か。 もっと、他に、強い獣魔が欲しいが、、、」 だからと言って、他の場所まで行けば、聖たちに、感づかれてしまう。 ガバラは、考えた末に、ギグルに、一つの提案をした。 「そ、それは、無理だよ、私の身体がもたない」ギグルは、難色を示した。
/99ページ

最初のコメントを投稿しよう!

10人が本棚に入れています
本棚に追加