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ガバラの大きな気配では無かったが、小さな気配が、うろうろしていたからだ
「きっと、この前の戦いで、生き延びたやつだよね」聖がそう言い
「そうだろうな、可哀そうだから、元に戻してやろう」
「ついでに、ガバラの足跡でも、見つけられると良いんだけどね」
そう言いながら、この前戦った島の、割と近くにある島の森で
二匹の蝙蝠獣魔を見つけ「やっぱり、あの時の生き残りだ」と、やっつけて
元に戻してやった、蝙蝠になった二匹は、どこかへ飛んで行った。
蝙蝠獣魔をやっつけるのに、皆は、筋斗雲に乗ったままで戦った。
その筋斗雲の下の地下に、まさかガバラとギグルが、潜んでいるとも知らず
「こんな近くに居る訳ないな」「そうだな、もっと先の島を探そう」
そう言って、あちこちの島を探して歩いたが、何の手掛かりも無かった。
「行ったか、満潮で助かったな」ガバラは、そう言うと
「せっかく作った獣魔が、元に戻されちゃったよ、これじゃ、お前が頼んだ
薬草も、探すことは出来ない、また作るか」ギグルは、洞窟の天井に居る
蝙蝠を見て、そう言ったが「まぁ待て、もう少し、あいつらの気配が
遠のいてからの方が良い」ガバラは、何やら薬を作りながら、そう言った。
まだ、ガバラを探している聖たちに、恭弥から電話が有った。
「マウス病患者が、一気に増えたんだ、それで仙人草を
もっと沢山育ててくれって、涼香さんから、連絡が有った。
用が済んだら、すぐに帰って来てくれ」
「分かった、用は、まだ途中だけど、そっちの方が優先だ、すぐに帰る」
聖たちは、日が落ちて、暗くなってから、美里村へと飛んだ。
村は、暗かったが、ハウスには、赤々と灯りが付けられ
恭弥たちが働いていた。
「こんな夜中まで、働いているのか」聖が驚いて言うと
「聖たち、もう帰ってこれたのか」と、恭弥たちは、嬉しそうに言う。
三人は、すぐに畝たてや、種まきなどを手伝う。
全部のハウスの、種まきが終わり「これで、一安心だ」と、皆は腰を伸ばす。
「お疲れさん、ゆっくり休んでくれ」恭弥がそう言い
ミノ婆を起こしたくない聖は、快哉と譲の家で、寝る事にした。
四人で、お茶を飲みながら「港での封鎖に、失敗したのね」聖がそう言うと
「涼香さんが、注意したはずなんだが」と、快哉も、残念そうに言う。
「同じ過ちをするのが、人間だよ」玉翠が、仕方ないという顔で言う。
「こうなったら、早く薬を作らなくっちゃ」「その為には、仙人草の葉を」
「ああ、出来るだけ沢山、作ろうな」四人は、頷きあった。
と、言う事で、翌日からは、仙人草の栽培に、全力を挙げ、葉っぱが出来ると
片っ端から摘み取り、涼香の所へと運ぶ。
しかし、種の時は、一気に収穫できたが、葉っぱの収穫は
一枚一枚、手で摘み取るので、時間がかかって仕方が無い。
「何かこう、一気に葉っぱが取れる機械って、無いかな~」
政がそう言うと「駄目だよ、そんな乱暴な採り方じゃ、葉っぱの効能が
薄くなる」玉翠に、そう言われてしまった。
「仙人草って、気難しいんだね」聖がそう言うと
「その分、効能は抜群だ」と、言った玉翠は
「種は、まだ有るのか?」と、聞く「うん、倉庫一杯、有るよ」
「じゃ、もう種は取らなくても良いんだな」と、言うと
葉っぱを取りつくした茎を抜き、次の種をまく準備をさせた。
マウス病の厄介な所は、潜伏期間が長く、その間の感染者は
全く気付かず、ある日突然出て来た、発疹に驚いて、病院へ駆け込む。
その時点までに、接触した人を数えたり、どこに行ったかなど
詳しく覚えている人は少なく、濃厚接触者を特定する事は、難しかった。
マウス病に掛かっている疑いが有る者を探し出すには
検査が必要だったが、また、カロナーの時の様に、検査する機関に
人が押し寄せる事を避けるため、政府は、検査キット作りを急がせた。
自分で検査して、陽性だったら、入院させる。
それが、当面の一番いい方法だと、思ったからだ。
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