決戦

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決戦

それは、ガバラを吸い込んで、もっと強くして欲しいというものだった。 「お前ほどの強い者を吸い込んだら、私の身体はもたない。 失敗すれば、共に死ぬことになる」 「構わぬ、そこで死ねば、それまでの運命だったと諦めよう。 お前には悪いが、共に死んでくれ」「、、、、そこまで言うなら」 そう言って、ガバラを吸い込んだギグルは、苦しみ、のたうち回っていたが 最後の力を振り絞って、腹を開け、何倍も強くなったガバラを、放出した。 「やった!!」と、歓喜に小躍りする、何倍も強くなったその姿は さらに恐ろしい形相になっていて「行くぞ、俺の後に続けっ」 そう言うと、洞窟の天井をぶち破って、島の上空へ飛び出した。 猪や、鹿の獣魔たちも、そのガバラに続く。 後には、抜け殻の様になった、ギグルが、横たわっているだけだった。 もう、殆どの国の港町に、薬を撒き終え、今夜は、久しぶりに ゆっくり寝よう、そう言って、横になったばかりの、四人は がばっと跳ね起きた。 「動いたっ」「随分、気配が大きくなっているな」 「ああ、ものすごい気だ」「油断するなよ」四人は、手早く着替え 武器を手に、筋斗雲を呼ぶ。 真っ先に聖が飛び、快哉と譲、最後尾に玉翠が続く。 「いたぞっ」聖は、その言葉と同時に、もう先頭の獣魔二頭を 如意棒で叩き落す、だが獣魔も強くなっている。 直ぐに体勢を立て直し、叩き落された海面から、飛び上がる。 そこを待っていた快哉と譲が、攻撃し、また海面に叩き落す。 さすがに弱った、その二頭に、玉翠が手をかざし、元の猪に戻すと 猪たちは、すいすいと泳ぎ、近くの島に上陸した。 「後で、もと居た島に連れて行ってやるからね」玉翠は、そう言うと 次に叩き落された、鹿の獣魔にも、同じ事をする。 鹿も、見事な泳ぎで、猪が居る島へと上陸した。 「ふん、なかなかやるな」後ろで見ていた、ガバラが言う。 「あったり前だ、何度も悪い病原菌をばら撒いて、人や動物を苦しめたお前は 絶対に許せない!!今回は、本気モードで行くぞっ」 聖は、燃える炎のような目で、そう言った。 「わ~はっはっは、前より、何倍も強くなった俺様に、適うものか」 そう言ったガバラは、ゴォ~ッと、口から大きな炎を吐き出した。 四人は、筋斗雲で四方に飛び、その炎を避ける。 避けた四人に、残りの獣魔たちが襲い掛かる。 四人は、ガバラの炎を避けながら、獣魔全部をやっつけた。 「もう、ガバラだけだ、行くぞっ」聖は、ガバラが吐く炎を避けながら ガバラに突っ込んで行く、ガバラは、近づいた聖に向かって 大きな金棒を振り下ろした「危ないっ」譲が、叫ぶ。 「伸びろっ、如意棒!!」如意棒の先を持って、聖がそう叫び 如意棒は、ガバラの胸に突き刺さる感じで伸び、聖の体を、遠くにやった。 聖は、そのまま「突き~っ」と、如意棒に、力をこめた後 元の大きさに戻した。 「ぐふっ」ガバラが、如意棒が当たっていた胸を押さえた。 「くっそ~っ」ガバラは、腰に下げていた、袋を、空中高く投げ、小さな火で その袋を破った、袋の中に有った粉が、四人に降りかかる。 「毒だっ、吸い込むなっ」玉翠が叫び、譲が、宝杖を、風車の様に回転させ 風を起こし、毒の粉を吹き飛ばす。 だが、一番端に居た快哉は、毒の粉を吸い込み、みるみる顔色が蒼くなった。 「快哉、これを」玉翠が、念の為にと持って来ていた、毒消しを飲ませる。 そんな快哉に、気を取られていた聖のすぐ近くまで来たガバラは 「くらえっ」と、聖の頭上に、金棒を振り下ろす。 聖は、ガキっと、それを如意棒で受けた、ガバラは、金棒に力を込めて ぐいぐい、押し潰そうとする。 「させるかっ」と、譲が、ガバラの後ろから、半月型の刃で切りつけたが ガバラの、頑丈な体に、かすかな傷を、つけただけだった。 だが「うるさい蝿めっ」と、振り返ったガバラは、譲に向けて、炎を吐く。 「今だっ」そのわずかな隙に、聖は、金棒を押し戻し 再び、如意棒に、渾身の力を込めて、ガバラを突いた。
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