決戦

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「無理も無いよ、マウス病も、鼠たちの事も、ガバラも 一気に片が付いたんだから」譲が、そう言った。 「これからは、何をすれば良いのかな~」聖がそう言うと 「まだまだ、聖が働く事は、多いと思うぞ、美里村だって 元の様な、綺麗な里山にするんだろ?」と、快哉も言う。 「そうだね、山の間伐も、やりかけたままだった」聖も、思い出した。 そんな話をしている間中、そこらを、きょろきょろしていた玉翠は 「この島には、珍しい薬草が有るな~毒草だけど」と、言う。 「毒草?どれ?」皆も、足元を見る。 「これだよ、でも、使いようによっては、良い薬になるんだ」「へ~」 「私は、こんな下界の、珍しい薬草を収集したいから、残ったんだ」 玉翠は、その草を採りながら言う。 快哉と譲は、思わず顔を見合わせる。 それは、ただの口実で、まだ食べていない、下界の物を食べたいから 残ったんだろ、二人の目は、そう言っていた。 夜は、すっかり明け、朝の光が、辺りに降り注ぐ。 「日が昇って来たな~こんな中じゃ、空は飛べないな」 「そうだが、今回は、食料は何も持ってこなかった、どうする?」 快哉と譲が、そう話していると「ここらで、手に入る食糧は無いのか?」 と、玉翠が言う「海に潜って、魚を捕まえる位だよな」譲がそう言った。 「魚か~旨そうだな」玉翠は、もう、魚を食べる気満々である。 「仕方ない、快哉は、火を熾して、待っていてくれ」泳ぎの得意な嬢は そう言って、服を脱ぎ、縄を一本持つと、トランクス一枚で、海に飛び込んだ 「私も、何か探そうっと」聖は、波が打ち付ける岩の傍に行き きょろきょろ探し「あ、牡蛎が有るっ」と、喜んで、石を持って来て ガツガツと、岩に付いている、大きな牡蛎をいくつも獲った。 快哉は、ガバラが明けた穴から、洞窟の中に降り 「良いぞ、ここには、地下水が有る」と、喜んだ。 その洞窟の奥には、波に運ばれ、流れ込んだと見える流木が 山の様に積み重なっていたが、どれも良く乾いていた。 「絶好の洞窟ライフが楽しめそうだな」快哉はそう呟き、浜に行って 大きな石を何個も、洞窟の中に運び、竈風な物を作り そこで火を熾した、快哉は、細めの流木を選び、腰に下げていたナイフで 先を削り尖らせていく、それが終わると 「玉翠さん、竹を切って来て下さい」と、そのナイフを渡す。 「竹?何にするんだ?」傍で見ていた玉翠が、そう聞いた。 「箸を作るんです」「分かった、直ぐに取って来る」 玉翠は、洞窟から飛び出し、竹が有る方へ飛んで行く。 切って来た竹を割り、みんなの箸が出来た。 「これで、どう?」「綺麗に削れましたね~玉翠さん、器用なんですね」 そう言っていると「牡蛎が有ったよ」と、広げたスカート一杯に 牡蛎を包んだ、聖が入って来た。 「牡蛎は良いけど、スカートで、、、太腿まで、丸見えじゃないか」 呆れて、そう言う快哉に「良いじゃない、知らない人じゃなし」と 屈託なく言う聖は、大きな貝の殻を、頭にかぶっていた。 玉翠が「その頭は、何じゃ?」と、聞く「あ、それは、シャコ貝の殻ですね」 そう言った快哉は、その貝殻を、綺麗に洗って 「大きいので、鍋代わりになるんです」と、説明した。 「おお、そうか、良い物が有ったな」そう言っていると 「ただいま~魚、獲れたぞ」と、魚を、縄の端から端まで通した譲が 帰って来た「お疲れ~そこの水で、身体を洗うと良いよ」 快哉にそう言われて、水に入った譲は「うわぁ~冷たい~」と、叫んだ。
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