ビート

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ビート

ウォークマン或いはテレビジョン ラジオ インターネット きっかけはなんでも良くて コンビニのウィンドウスピーカー さもなくばバイト先の更衣室に流るる有線 弾けるビートは脳梁を突き刺して環状受容体をズタズタに引き裂く 興奮冷めやらず 鳥肌は収まることを知らない その熱情は細胞に伝播してシナプスにまで至る 視界明滅 暗転の後点滅  波状する幸福 去来する万能間の魚雷 ビデオテープであるらば擦り切れているであろうところまで聴いて聴いて聴いた なお飽きることを知らず 特筆すべきは歌詞で 難解な語彙 小節編成 詩人にも劣らぬ情緒及び技巧 最早文学の域にまで到達した構造文体 踏み鳴らすのはビートだけでは無く韻又は音 散りばめられた意匠 掛けられた言葉 言葉遊びの範疇を超えたフラクタル構造 はたまたメロディーは異界への扉
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