あの白い雲を君は追いかけていった

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このまま友達が出来ずに中学校が終わっても別にいいや、と桜を見て思ったりもしていた。 そう思う自分でいて良いのかとも思ってはいたけど・・・。 「風花~!まだなの~?早く行こうよ~」 そこまで遠くはない距離で声がして見ると笠井風花が立っていた。 私とほぼ同じ姿勢でいたと言える。 「まだまだ~。お土産買わないから先行ってて~!」 彼女は友達の方には目もくれず必死に描いていて、そばに友達もいなかった。 一人で居る女の子、がもう一人いた事で私はとても嬉しくなり同時に勇気づけられた。 おかげでその後も順調に鉛筆が進み、焦ることなく下描きを完成させることが出来たのを覚えている。  彼女と話したことはあっただろうか。 ふと帰りのバスの中でそう思っていたが、すぐに思い出していた。 科学の実験室での事、それぞれ結果を記入したプリントを後ろの空いている机に、彼女と私はほぼ同時に提出した。 「ここでいいのかな」と、独り言のように自然に私に声をかけたのだ。 本当に入学したばかりの頃だったから、私もほぼ誰とも話せていない時で、私が答えていいのか、と思ったけど彼女の周りには私しか居ない。 「うん」 私は大げさに頷いた。それが精いっぱいの私なりのコミュニケーションだった。 彼女も2、3度頷いてくれて自席に戻って行った。 私が緊張していたのがわかったのだろうか、会話は続く事は無かったけれど 彼女が言葉をかけてくれてとても嬉しかったのを覚えている。
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