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彼らはアラビアにやって来た。駱駝に乗ったり、住所のないドバイを観光しに、だ。
飛行機から小さく見えたブルジュ・ハリファは大きく、雄大に聳え立っている。彼らがその雄大さに感嘆していると、強風が横から吹いてきた。砂ぼこりを率いてこちらにやって来る。彼らは目を反対側に向けた。すると、風で舞い上がった路傍の砂の下に太陽の光を反射して光る物が見えた。近付いて砂を退かすとそこには金色に輝くオイルランプがあった。しかし、彼らはそれに馴染みがなかった。
「これは、カレーのルーを入れるアレじゃないか?」
「いや、アラジンのアレじゃないか?」
「それは御伽噺だろう?」
彼らはグレイビーボートもオイルランプもアレで片付けてしまった。
「雑草という草はない」と言う名言もあるのにも関わらず名前を知られていない事は多い。
彼らは試しに擦ってみようと思い、人目の付かない路地に入って擦ってみた。するとモクモクモクと煙が昇り、次第に煙の形を変えて人形になっていった。
「おお、ありがとう。私の名はジン。出してくれたお礼に願いを三つ叶えましょう」
ビーは本物だと歓喜したが、エーは紛い物かもしれない、とビーを制した。そこで、彼らは確かめるために一つ目の願いを叶えてみる事にした。色々と思案しやはりお金だろうとなったが、エーが本で全て同じ物になってしまうと言う物語があったから、とまたもやビーを制した。最終的には飲料水にした。
「二リットル入りのペットボトルに入る、目一杯の飲料水をこのスーツケースに三本入れてくれ」
「なかなか詳しいな。よし、では一つ目の願いを叶えてやろう」
それから数秒してスーツケースの中でごとんと音がした。開けてみると中には言った通りの物が入っていた。彼らはこれは本物だ、と顔を見合わせた。
「まさかこんな物が存在するとは……」
「おお、鳥肌が立ってるぜ、ぞくぞくするぜ」
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