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愛らしい 少女
私(わたくし)には親友と呼べる者がふたり、おりましたの。
1人は麗華(れいか)という一つ歳下の少女。
もう一つは、昔母から頂いた日傘。
きっと麗華はともかく、日傘とは?と思うでしょうね。日傘に宿る魂と、仲が良かったのです。
一般論で言う、付喪神(つくもがみ)…と呼ばれる者たち。大切に物を扱うと現れるとても、ちいさな神様。
___ちいさないのち
月がいつにも増して綺麗に輝きを放っていました。少し肌寒く、少し疲れていて…
それで、風邪を引いていたあの日。
日傘の付喪神と出逢いました。
…まま
と、言う声を聞いた時には驚きでいっぱいでした。まさかこの歳で「ママ」と呼ばれる日が来るとは思わなかったので。
いつしか「ママ」と呼ばれる日は無くなりました。私たちが親友と呼べるような友情を育んだからです。
…アイラ
私の名前は呼び捨てで呼ぶのです。
それに少しはしたない。男の子だから仕方ないのかな?…とは思いますが…それでは差別になってしまいますね…
もう少し上品になってくださらないと私…いいえ、それはやはり良いのです。
とても、頼りにはなりますから。
朝、私の名を呼ぶ声がしました。
アイラ、アイラと、何度も。
私は目覚めが悪いので彼にはすごく迷惑をかけておりますが、朝に大切で大好きな友人に起こされるというものは私に1日頑張る為のチカラをくれるので、私的には…嬉しい事です。
それに、目覚めた時に彼は枯れた大地に咲く一輪の花のように美しく、凛々しい笑顔を魅せるのです。
そうして、おはよ…と一言申し、私の頬へとキスをするのです。
そのちいさな身体で、そのちいさな唇で
その…ちいさくて、おおきなこころで。
そうして静かに始まる1日。
朝ご飯をいただいて、午前中は勉強。
昼食後、日傘の彼を連れて麗華の元へ行く。
麗華は巫(かんなぎ)の少女。
仲良くなったのは彼女の筆の付喪神、
仲良くなったのは私の日傘の付喪神、
2人の男女の付喪神が、私たちを引き合わせました。
付喪神のもちぬしは、他の付喪神を視る事は叶いません。
麗華は巫だもの。特別なチカラで視えるのでしょう。私は…何故でしょうか。
視えてしまいました。
そして麗華が、付喪神に執着してきているのも…わかっています。
ある日、突然付喪神は悪魔だと言い出しました。
彼女の家で何かがあった事は察しがつきましたが、何があったのかは訊いても黙秘ばかりでわかりません。
ーねぇ、ねぇっ…麗華!?ー
彼女は変わる。
明るい性格は冷たく凍り、
華やかな心は悲しく叫ぶ。
付喪神は本当は悪魔などではありません。
私にはわかります。私と共にした日傘の彼は、だって、だって…
美しい心ですから!
とはいえども麗華…あの子があんな事言うなんて信じられないの…。
私は取り敢えず彼女に従う事にしました。
この子がどうしてこうなったのか、探るため。助ける為に。
私は…あなたを信じてる。
あなたは、日傘の付喪神の様に、綺麗で華やかな人だから。
付喪神の事を人と言って良いのかわからないですが…。
私はまるで、人のように接しています、だって…ちいさくとも、人の子の様に声を出し、行動し、食事なんてしなくても生きられるのに私と今日も食事を共にしましたの。
それではまるで人の子、それ以外の何者でも無いと思いたい。
ねぇ、お願い…お願いです…!
麗華っ…元のあなたに、戻って!!
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