狂い狂われmarionnette 後編

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狂い狂われmarionnette 後編

後編 覚醒の巫女が狂う、舞い踊る時 付喪神…悪魔による贖罪。 そうは言えども何処から始めたら良いかなんて解らない。だから神様、私の家の神様に頼る事にした。 神様はこの話を、贖罪の話を聞くと、豪快に笑った。この声に、この笑顔に、ドキッとした。筆の付喪神おともだちと出逢った時とは違う。…このドキドキは何? この神様の為に頑張りたい、この神様の言う事なら何でもしたい。この身を捧ぐ神様は彼が良い。そう、思ったの。 愛しく感じた神様に、私は聞いた。どうしたら付喪神たちの贖罪を手伝えるのかを。 聞いた。この身を捧げ、契りを交わす事を条件に…。 そういうことをするのは初めてだからとても恥ずかしかったけど、愛しい神様となら構わない。 付喪神の贖罪を手伝う。それは神様のチカラを借りて、誰がもちぬしか、判別をする、更に必要とあらば、チカラでもちぬしと付喪神の仲を良く無い方へ導くキッカケをつくる。 そこからは少しずつ私が関わり仲を引き裂いてゆく。 関わる方法は、日記を書く為の取材という事にした。取材ならば、付喪神の話を聞けるし、言っても何ら問題はない。 更に、日記を付喪神を広める為と言う。 付喪神がどれほど悪いモノなのか、知らしめる為に使いたいから偽りなど無い。 こうする事で私も。付喪神も。神様も。 みんな幸せになる。そう思ってはじめたのがこの日記を書き上げると言うものだ。 書き始めて2日ほど経った頃だろうか。 見つけたのが「るい」という名前の少女。 もうひとりが「悠輝」という名前の青年。 彼女は、彼は、兄妹。 るいという少女はパスケースを。 悠輝という青年はキーボードを。 付喪神をそのモノに宿し、少女は「なかよし」として青年は「こいびと」として親しみを込め大事に扱っていた。 特にるいちゃんは私と年齢があまり変わらない。そう、るいちゃんは3つ、歳上。 兄はたしか…大学2年生だ。20歳になる。 るいちゃんはもちぬしになって日が浅い。 だってまだ、数年単位だから。 …兄はもちぬしになって、10年近く経つ。確か小学5年生の時、付喪神の存在について気付いたという。 私の神様は言う。 付喪神の存在について気づく人間は少ない。だから兄妹揃って気づいたという事は何かしらのチカラがあるという事。 特に妹はチカラを強く宿している。 ……どんなチカラかは、神様にも分からないようだ。 るいちゃん本人もその自分のチカラについて気づいて居ないようだ。だが、悠輝お兄様は気付いているように見える。 どうやってこの兄妹の付喪神の贖罪を手伝おうか。神様と繋がり、チカラを注いでもらう事にした。 私のこのチカラと神様のチカラできっと平和に導いてみせるわ。私ならできる。 この私が、付喪神への憎しみと愛がある私が。 …いいえ、私だからこそ、やってみせるの!愛かわいらしい付喪神つくもがみへの…にくたらしい付喪神へ私からのプレゼント…。 だって、確かに楽しくて幸せな時間を届けてくれたのだって、確かに悔しくて辛い時間を届けてくれたのだって。 全て全て付喪神。 ふわふわ。 ふわふわゆれる…こころゆれる。 ふわふわふあん…。 このミッションを完遂させられるのだろうか。不安だ…ふわふわ不安。 私が私じゃなくなってゆく。 華道やら琴やらに精を出していた時代はどこ? 筆の付喪神のおともだちと一緒にバカな事を言って笑い合ってた時間はどこ? 私何処からこんな壊れたの? 私何処からこんな狂ったの? 神様と交わる前なら戻れたけど今更は無理だから。 …だから。だから。 やっぱり…この日記を完成させる事。付喪神の贖罪を手伝う事。 この2つが私のやり遂げ無ければいけない事だって思ってる。 だから、見守っていてね。この物語を見守るあなたなら、私の事、分かっててくれるって、そう信じてるから。
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