置いてけぼりのふじのはな

　残像(イマジン)制度(せいど)が整(ととの)った後(あと)の子(こ)たちはある程度(ていど)言葉(ことば)を話(はな)すことができたり、社会(しゃかい)の一定(いってい)のルールやマナーを覚(おぼ)えていたりしていた。生(う)まれながらに。わたしの友(とも)だちはみんな、そうやって生(う)まれてきたんだってさ。だけどわたしの場合(ばあい)はね、違(ちが)ったんだ。

　残像(イマジン)マシンの故障(こしょう)が原因(げんいん)だとお母(かあ)さんに聞(き)かされたけれど、お母(かあ)さんがあるとき、咲(さき)ちゃんのママに、わたしのことを“置(お)いてけぼりの子(こ)”とこっそり言(い)っていたのを覚(おぼ)えている。“置(お)いてけぼりの子(こ)”たちはね、残像(イマジン)の教育(きょういく)に取(と)り残(のこ)された子(こ)なんだって。残像(イマジン)の優秀(ゆうしゅう)すぎる教育内容(きょういくないよう)がわからないんだってさ。