置いてけぼりのふじのはな

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 (ほか)(ひと)残像(イマジン)をのぞき()ることはできないけれど、きっとわたしのそれのような風景画(ふうけいが)ではないだろう。みんなのはもっと、理路整然(りろせいぜん)としたものだって、みんな理路整然(りろせいぜん)としているからわかるんだ。  一度(いちど)(とも)だちの(さき)ちゃんと大樹(だいき)くんにわたしの残像(ざんぞう)風景(ふうけい)のことを(はな)したことがある。野生(やせい)(ふじ)(はな)()(みだ)れる残像(イマジン)風景(ふうけい)は、たしかにわたしらしいと(さき)ちゃんは(よろこ)んでくれたけど、大樹(だいき)くんはそんなおとぎ(ばなし)みたいな光景(こうけい)なんて一生(いっしょう)かかっても()つからないよときつく()っていた。それに、富士野(ふじの)(はな)という名前(なまえ)のやつが(ふじ)(はな)残像(イマジン)()るなんてそれこそ(つく)(ばなし)だ、なんてことをムキになって()っていた。  なぜ大樹(だいき)くんがそんなにもわたしの残像(イマジン)のことを(わる)()うのか最初(さいしょ)はわからなくて、ただただ(かな)しいだけだった。けれども、その翌日(よくじつ)大樹(だいき)くんが(あやま)ってきて、(なみだ)ながらにこう(さけ)んだの。
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