第一場 月光奏鳴曲

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(てい)先生、この娘を診てくれませんか」  装飾過多気味の華奢な長椅子に藍子を腰掛けさせながら、深水が言った。 ーー先生の先生?  少なくとも医者にはみえない。  店の娘は興味津々で矢継ぎ早に、深水と藍子に代わる代わる質問をぶつけて来た。 「その娘どうしたの?新しい娘?歩けないようだけど大丈夫?」 「鄭先生」と呼ばれた方の物静かそうな男は 「リウ。それはこれから私が聞くことだよ」と苦笑した。 「君は質問するときも忙しいんだな」  深水も鄭と顔を見合わせ笑った。 ーーそれにしても、この店は?
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