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「ひっ、ひぃぃ!」
残った1人が血相を変えて逃げ出した。背中を向け、公園を出て行こうとする。
早由利がヒョイッとスコップを投げた。逃げようとしていた警官に突き刺さり、背中から胸まで貫く。
ガフッ! と血を吐き出しながら、その警官も倒れた。同時に命も吐き出されていた。
早由利がゆっくりと最後の警官に歩み寄り、身体に刺さったスコップを抜き取る。
血飛沫が上がった。
更に作業を進める。それぞれがスコップ、そして鎌で、死んだ警官達の首や手足を切断し始めた。
だがその途中、ふいに早由利がどこか遠くへ視線を向けた。彼女がというより、胸の邪筒の中の大いなる意思が何かを感じとったようだ。
次の動きは即座に始まった。
早由利がスコップを手にしたまま走り出す。当たり前のようにそれに続く、堀井、富山、そして望田。
陸上選手より早く、時に家屋の屋根や塀の上に飛び乗り、野生の猿のように……。
あっという間にたどり着く。そこは、望田達にとっては見慣れた場所、住んでいたアパートだった。あの騒動の後、訪れたのは今が初めてだ。
まわりは夜ということもあり静かだった。
4人、無表情で赤い目をしたまま建物に近づいていく。
すると、玄関口の所に何かあった。
おそらく正気の時だったら驚き、悲鳴をあげていただろう。だが今、彼らにそんな感情はない。
玄関口に置かれていたのは、遺体だった。
イスがあり、それに全裸の女性が座っている。目が真っ赤だ。血の色をしている。
望田達4人を操っている大いなる意識が、微かに揺れ動いたような気がした。
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