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「気にしなくていいよ、そんなこと。服は脱ぐから、格好は関係ないし。中身なんてどうでもいいし。見た目が良ければ、それでいいのさ。美しいことが第一だ。君は充分美しいよ」
「ど、どうも……」
……って言ってる場合じゃない。どうすりゃいいんだ?
どんどん下がり、行き場がなくなってきた。焦りが募る。比留川の胸元の邪筒を見るとRedCrystalの光が増していた。ルゥルアは無理を承知で邪筒に向かって声をぶつける。
「おい、邪意魔っ! あんたと話をしよう。そんなヤツと一緒にいるより、私と協力し合った方が楽しいぞ。世界征服だ。この世界を、私とあんたで一回ぶっ壊そう。な?」
しかし、反応はない。
「目を覚ませ、邪意魔。私の話を聞けっ!」
必死に叫ぶルゥルア。
「無駄だよ」と言って比留川がサッと動く。目にもとまらぬ早さでルゥルアの目の前に立った。「でも、面白い娘だね、君は」
「うわぁっ!」
慌てて逃げようとするが、左腕を掴まれてしまい動けない。
「ふうん、世界征服か。邪意魔様が一緒なら、それもできるかもしれないね。でも、面倒くさくない?」
「は、放せっ!」
ぐいと顔を近づけながら話す比留川を嫌悪し、なるべく離れようとするルゥルア。腕を引っ張るものの、強い力で掴まれていてビクともしない。
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