比留川邸

3/5
前へ
/270ページ
次へ
 「気にしなくていいよ、そんなこと。服は脱ぐから、格好は関係ないし。中身なんてどうでもいいし。見た目が良ければ、それでいいのさ。美しいことが第一だ。君は充分美しいよ」  「ど、どうも……」  ……って言ってる場合じゃない。どうすりゃいいんだ?  どんどん下がり、行き場がなくなってきた。焦りが募る。比留川の胸元の邪筒を見るとRedCrystalの光が増していた。ルゥルアは無理を承知で邪筒に向かって声をぶつける。  「おい、邪意魔(Evil evil)っ! あんたと話をしよう。そんなヤツと一緒にいるより、私と協力し合った方が楽しいぞ。世界征服だ。この世界を、私とあんたで一回ぶっ壊そう。な?」  しかし、反応はない。  「目を覚ませ、邪意魔(Evil evil)。私の話を聞けっ!」  必死に叫ぶルゥルア。  「無駄だよ」と言って比留川がサッと動く。目にもとまらぬ早さでルゥルアの目の前に立った。「でも、面白い娘だね、君は」  「うわぁっ!」  慌てて逃げようとするが、左腕を掴まれてしまい動けない。  「ふうん、世界征服か。邪意魔(Evil evil)様が一緒なら、それもできるかもしれないね。でも、面倒くさくない?」  「は、放せっ!」  ぐいと顔を近づけながら話す比留川を嫌悪し、なるべく離れようとするルゥルア。腕を引っ張るものの、強い力で掴まれていてビクともしない。
/270ページ

最初のコメントを投稿しよう!

74人が本棚に入れています
本棚に追加