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「くそっ! これならどうだっ?」
ルゥルアは首を強く振る。セミロングの髪がなびく。その先が、比留川の赤い目を掠った。
「むっ!」
一瞬怯み、比留川がルゥルアから手を放す。そして目を押さえた。
「よし。うりゃぁっ!」
その隙に、ルゥルアが比留川の胸にある邪筒を両手で掴んだ。思いきり引っ張る。
取れない……。
銃撃で外れるのだから力さえ込めれば何とかなると思ったが、彼女には無理だった。
比留川が目から手を放し、ルゥルアの腕を再度掴もうとする。
サッと飛び退り逃げるルゥルア。そして身構えると「やあっ!」とジャンプする。回転し、比留川の顔に向けて足を伸ばす。飛び後ろ回し蹴りだ。
見事に命中した。踵が彼の右頬を直撃しガツンッと音がする。
しかし、比留川は微動だにしなかった。
「くそうっ! えいっ!」
続けて左の貫手を腹部に向けて放つ。だが、鉄板のように堅くなった比留川の脇腹が、ルゥルアの指をはじき返してしまう。
「いっ、痛あっ!」
左手を押さえて叫ぶルゥルア。
比留川は彼女の両腕を掴むと「なるほど、乱暴だなぁ。ちょっとお仕置きが必要だね」と言って引きつけながら膝を突き上げる。
おそらく軽くやったのだろうが、比留川の膝蹴りをみぞおちに受け、ルゥルアの小柄な身体は浮き上がってしまう。そしてグシャッと落下した。
「あうっ! ぐわぁっ!」
痛みが全身を突き抜け、息も一瞬できなくなる。叫び、腹部を両手で押さえながらのたうちまわるルゥルア。
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