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キリがないっ!
何度倒しても、叩き落としても、死んだ者達の身体はそのたびに起き上がり、生首は宙に浮く。
こんなことをしているうちに、ルゥルアは……。
洋館を見る。あの中で、比留川は彼女に何をしているのか? 2年前犠牲になった女性達の状態を想い出し、焦燥感が増した。
その時、何か人の声とも動物の鳴き声とも、あるいは機械音ともとれるような、不思議な響きが聞こえてきた。
すると、それまで動きまわっていた6つの遺体が、バタリとその場に倒れる。生首も落ち、転がって止まった後は動かない。
アブルが追いついてきて、両手を前に掲げていた。彼が何か放ったのか?
それは、気? エネルギー?
辺りの空間が、幾分歪んだような気がした。
「邪意魔は力――意思エネルギーをどんどん大きくしている。それだけ多くの恐怖や脅えなどの負のエネルギーを吸収したらしい。だから、邪筒に閉じ込められていてさえ、そんなこともできるようになった」
そんなこと……死体を動かすことか? しかも、かなりの距離を移動させている。
怪物化することも恐ろしかったが、他の者まで、あるいは死体まで好きなようにできるなど、まさに悪魔だ。
「智秋君、私の体を支えてくれ。修復するまでまだ時間がかかるので、不安定なんだ。今物理的な攻撃をされたら厳しい」
アブルにそう言われ、智秋が駆けよった。
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