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「ルゥルアッ!」
怒鳴り、駆けよろうとする牧島。だが、比留川がサッと両手を広げて待ち受けるようにする。
「きさまぁ……!」
憎しみを込めて睨みつける。
「あの時、牧島さんは僕を徹底的に叩きのめしたよね。強かったなぁ。そりゃあ、SATなんて、警察の中でも一番すごい部隊にいたんだもんね。そんな人が、一般人に暴力ふるっちゃあダメじゃん。でも、今度は僕も、邪意魔様にちょっと強くしてもらってるから、負けないよ」
ジリジリと迫ってくる比留川。牧島は横へ移動しながら身構える。手には警棒。
シャッ! と蛇のような威嚇音を発しながら、比留川が飛び上がる。そして鋭い蹴りを見舞ってきた。
間一髪で避けた牧島が、警棒を繰り出す。比留川の喉元に、剣道でいう突きが入った。見事な一本だが、まるで鋼鉄に当たったかのように跳ね返された。
「効かないなぁ」
比留川がニヤッと笑う。そして両腕で次々にパンチを繰り出してくる。格闘技のセオリーなど全く無視した、素人が腕を振り回すような攻撃だが、その早さと力強さは人間を超えている。牧島は避けるので精一杯だ。
壁に追い詰められた。比留川の拳が顔に迫る。それを間一髪で避けると、ドガァッ!、と激しい音をたてて牧島の顔があった辺りに大きく穴が開いた。
くそっ!
壁に穴を開けたその腕に思い切り警棒を振りおろす。
ガキィッ! と鈍い音を響かせた。普通の人間の腕なら間違いなくへし折れているはずだ。しかし、微動だにしない。全く攻撃が通用しない。
どうすればいいんだ……?
またしても後退を余儀なくされる牧島。比留川が相変わらずニヤニヤしながら迫る。
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