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「ま、牧島……」ルゥルアの声が聞こえた。まだ苦しそうだ。それでも必死に訴えかけてくる。「目だ。ヤツの目を狙え。そこは普通にダメージがあるらしい」
比留川の赤く輝く目を睨む牧島。
「おしゃべりだなぁ……」
比留川がルゥルアを見る。
「ひっ!」と息を呑み、脅えて目を見開くルゥルア。テーブルの上にようやく体を起こしていたが、慌ててズルズルと後退し、降りて隠れるようにする。
比留川は恐るべきスピードでルゥルアの後ろ側まで移動した。そして彼女の首を右手で掴み、身体を軽々と持ち上げた。
「きゃ、きゃあぁぁっ!」
必死に腕や足をばたつかせるルゥルア。
「やめろっ!」
牧島が駆け寄ろうとするが、その直前に、比留川がルゥルアの身体を振り回すようにし、テーブルに背中から叩きつけた。
「ぎゃぁっ!」
ルゥルアの激しい叫び声が響き渡る。
「もうちょっと、おとなしくしていてよ。終わったら描いてあげるから」
そう言いながら、比留川はルゥルアを放し、その手で彼女の頬をさするようにした。
「あう、あうぅぅん……」
グッタリとテーブルに横たわるルゥルア。意識はかろうじてあるが、ダメージで身体が動かないようだ。
「この野郎っ!」
牧島が比留川に迫る。警棒で赤い目を狙い、突きを放つ。
比留川が後ろへ飛び退いて避けた。目の前を手でカバーしている。明らかにイヤがっている様子だ。
牧島は更に警棒をふるった。あえて目ではなく小手や胴を打ち据える。当然、鋼鉄のような身体に効果はない。しかし気を逸らすことはできた。
微かな隙をみて、再度赤い目へ突きを放つ。
身体を振って避ける比留川。だが、警棒の先が掠った。
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