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俺の望みは、こういう鬼畜を世の中からなくすこと。善良な人を無残に殺害し、のうのうとしている奴らを、この手で皆殺しにしてやりたい。
よし、やれ。我の力を貸してやる――。
牧島は気づかなかった。いつの間にか邪筒が浮き上がり近づいてきたのを。そして、自分の胸に張りついたことも、自分の目が赤く輝きだしていることも……。
うおぉぉっ!
全身に力が漲ってくるような気がした。
やるぞ、やってやる。
比留川を睨む。ヤツは血まみれになりながらも、相変わらずヘラヘラした顔でこちらを見ていた。
俺はこのような連中が許せない。こういう奴らを、みんな殺してやる。
牧島の頭の中は、憎しみと怒りで充満した。
「牧島、しっかりしろ。牧島っ!」
ルゥルアの声が聞こえた。どこか遠くからのような気がする。
牧島君、ダメだ。怒りや憎しみを抑えるんだ。邪意魔に利用されるだけだ――。
別の声。アブルか? いや、アブルと共生している別の世界の生命体の声か?
しかし、それらも今の牧島を止めることはできなかった。比留川に歩み寄ると、またしても拳をたたき込む。顔、腹、と何度も殴りつけた。
倒れた比留川を引っ張り上げて立たせ、また殴る。
息絶えるまで、殴りつけてやる……。
もはや倒れて動けない比留川を見下ろす。
まだだ。まだ生きている。まだ……と近づく牧島。
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