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【掌編】白い躑躅
私は中学生の頃の白い躑躅が忘れられない。
まだ何にも知らない純粋な白に彩られた花にすっかり夢中だった。
炎天下にも負けず、必死な姿は恍惚としてしまう。
気付けば密に誘われる蝶のようについ顔を向けてしまう。たまに染まる頬は赤躑躅。
でも残念なことに卒業する頃にはそれはもう無くなっていた。枯れた時は悲しくて泣いたりもしたっけ。
だけど甘いけど酸っぱく感じた蜜は良い思い出。
その話を夫にしたら一緒にツツジを見に行くことになった。
手を繋ぎ腕に抱き付いたりなんかしてツツジを見に行った。
驚いたことにそこには中学の同級生がいた。サッカー部だったあの人。
奥さんと一緒にいたその人と会うのは中学ぶり。覚えてくれてて嬉しかった。
久しぶりのつつじはあの頃とは違って見えたけどそこには色褪せないモノがあった。
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