мир エピソード01

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1話【反戦デモでの出会い】  当時俺は28歳。勤めていた会社を辞め、コンビニでバイトをしながら、家賃3万円の安アパートで生活していた。  当然根っからの非モテ体質だったので彼女なんてできるはずもなく、バイトの合間に就職活動をするもコロナ禍ということもあってなかなか就職先が見つからない。  そんなバイトと就職活動で一日が潰れるような日々を送っていたある日自宅でいつものようにバラエティ番組を見ているとニュース速報で〘ロシアがウクライナに侵攻!〙というテロップが流れてきた。  当時の俺はそれを見て「なんだ?また戦争かよ。懲りねぇな……」と対岸の火事のごとく他人事のように思っていた。  そのテロップが流れた日の翌日から各メディアでウクライナ侵攻の話題が多く取り上げられ始め、空爆で破壊され焼け焦げた建物や生存者のインタビュー映像がニュースや情報番組で取り上げられ、物議を醸した。  番組内では専門家たちが持論を展開し、ウクライナの首都は72時間以内にに陥落するだの、ウクライナに勝ち目はないだの語り誰もがウクライナはロシアに負けると信じ切っていた。だが、   日が立つに連れそんなメディアの予想を覆し、ウクライナの軍はロシア軍相手に奮戦。またキーウの幽霊なる噂話が世の中に出回る頃には各メディアは手のひら返しのごとくロシア軍の劣勢とウクライナ軍の反撃ぶりを報じるようになっていた。  それもあってか日本各地でも反戦デモが起き、俺の住む東京でも日本人のみならず在日のウクライナ人やロシア人が戦争反対の意志を込めた横断幕等を掲げロシア政府に抗議する姿をよく見るようになった。  そんなデモが各都市で始まりだした中でのとある日の土曜日、俺はひとりロードバイクで渋谷に来ていた。  渋谷駅の駐輪場に自転車を止め目的もなくぶらぶらとその辺を散策する。  スクランブル交差点を渡っていると【NO.War!戦争反対!】と書かれたステッカーを持ち反戦を訴える集団に目がいった。日本人の他に在日の人なのだろうか外国人も声を上げている。  テレビでくらいしかそういったものを見たことがなかったので実際自分の目で見るとなかなかの迫力で少し圧倒されそうになる。  交差点を渡り終え、しばらくその集団をボーと眺めているときだった。  「アノ……すみません……デモに参加してくれそうな人に声をかけてるんですケド。貴方も参加しませんか?」   ふと、誰かに声をかけられた気がした。 「なんだ?」と思って声の方に振り向いた俺は思わず心の中で驚いてしまった。   (え!?外国人!!?)  声をかけてきたのは色白の肌に透き通るような碧眼をした外国人の女性だった。  クリーム色に近いブロンドの長い髪が風でなびいている。  それが俺とミレイナさんの最初の出会いだった。  to be continued        
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