мир エピソード01

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 4話【デート?】   ――再び迎えた土曜日。俺はまた渋谷に来ていた。  天気は雲一つない快晴。しかし、風は生暖かく6月とは思えないほどの暑さだ。スマホのお天気アプリを見ると天気は晴れ、湿度は77パーセントと高く、気温は35度と表示されている。  「うわ、まじかよ……」    その表示を見ているだけでベタベタした嫌な汗が額から吹き出てくる。  周りを見渡すと半袖長ズボンにマスクをして暑い暑いと嘆いている男子高校生やこんな暑い日だというのに黒い長袖のスーツとネクタイをした会社員のおっさんやOL、手持ち式の扇風機を持って歩く女子大生くらいの集団やら大勢の人が街を行き交っている。  デモ会場に来ると既にミレイナさんは数人の参加者と談笑していた。  どんなことを話しているかは遠くからは聞き取れないが話をしている彼女の顔は笑顔でとても楽しげだ。  すると俺に気づいた彼女は笑顔で手を振る。  「あ、おはよータツヤ!」  「おはよう……」  よくこんな暑い中元気だなぁと思いつつ俺も挨拶を返す。  今日のミレイナさんの服装は白地の薄いワンピース姿でとても涼しげな格好だ。背が小さいこともあってその見た目はまるでディズニーアニメに出てくる妖精のようだ。  それから暑い日差しの下彼女と額に汗をかきながらデモ活動を頑張った。  デモ終了後、俺は彼女からスタバで一緒に休まないかと誘われた。  スタバならエアコンも効いているし冷たい飲み物も飲める。誘いを断る理由はなかった。  「ふう、ここは涼しいなぁ。もう外には出たくない……」  「そうですね……私も首の辺りが汗でベタベタです。帰って早くシャワーを浴びたいです」  お互い注文したアイスココア飲みながらエアコンの効いた店内で時間を潰す。  「しかし、今日の暑さは異常だな。ロシア人って寒いところ育ちなんだろう?こんな暑くて平気なのか?」  とりあえず思いつく限りの話題を彼女に振ってみる。  「平気ではないです。ロシアでは場所によるけど、6月の平均気温は25度くらいなのでこの暑さはきついデス」  彼女はキンキンに冷えたアイスココアを飲みながら答える。  「そっか…まぁ俺も冬生まれだからその気持ちはなんとなくわかるけどな」  俺の誕生日は12月の末だ。ロシアの冬の気温と比べれば全然マシな方だが冬生まれということもあって今日のような35度以上の猛暑日がとても苦手で、何か特別な用事がなければ家でクーラーをつけ引きこもるようなそういう男だ。  「そういえば、デモが始まる前に参加者の人たちとなにか話してたみたいだったけど。どんなことを話してたんだ?なんだかすごく楽しそうに見えたんだけど?」  ふと俺はデモが始まる前に彼女が参加者数人と談笑していたことを思い出し、訊ねてみた。  するとミレイナさんは笑顔でどんなことを話していたのか説明してくれた。  「ああ、実はデモ会場で仲良くなった人が何人かいて、それで来週の日曜日皆で東京ドームシティにいかないか?って話をしてたんです。」  そう語る彼女はとても嬉しいそうだ。  (東京ドームシティシティかぁ…)  東京ドームシティには子供の頃両親に何度か連れて行ってもらった記憶がある。だけど大人になってからは仕事が忙しすぎてまったく行けていなかった。いや、正確には行こうと思っていなかった。  すると彼女は名案を思いついたかのように目を輝かせながら、  「そうだ!タツヤも一緒に来ませんカ?タツヤを入れれば男2人女2人の4人になるから丁度いい感じになるんだけど」 と提案してきた。  「そうだな……」  俺はアイスココアを飲みながら考える。  急なこととはいえこういう機会でもなければまず行くことはないだろう。けれどまだちょっと行く気にはなれないでいた。    「だめ、ですカ…?」  彼女が不安そうな目で俺を見てくる。  「いや、その……うう、わかったよ。行くよ!」  そんな目で見られたら断れるわけがない。  「本当ですカ!?ありがとうタツヤ!」  彼女は俺の言葉を聞いてニッコリ微笑む。  こういうのを天使すぎるというのだろう。  (はぁ…しまった流れでOKしちまった…)  言ってしまったからには今更「やっぱりなし」とはいいにくい。  すると、  「そうだ!折角なのでLINE交換しませんか?タツヤとお友達になりたいノデ」  ミレイナさんはそう言ってLINEのアプリを開きバーコードリーダーを俺の方に向けてスマホをテーブルに置いた。  「ああ構わないぞ」  俺もLINEのアプリを開きバーコードリーダーを読み取る。  「できたぞ」  「ありがとうゴザイース。早速夜にLINE送るので見てくださいね」  LINEを交換してもらってミレイナさんはとても満足そうだ。  その後カフェ出てから俺はミレイナさんと別れて暑い日差しの中自転車を漕いで家路についた。     ――帰宅後  シャワーでベタついた体を洗い流した後俺は自分の部屋で何気なくスマホをいじっていた。すると彼女からLINEが届いた。「なんだろうか?」と気になってLINEアプリを開き届いたメッセージを観てみる。送られてきたメッセージの内容は当日の待ち合わ場所と時間に関することだった。  ミレイナ「今日はありがとう。とても楽しかった。それでなんだけどスタバにいるときに言い忘れてたことがあって……当日は現地に11時をに待ち合わせだよ。皆もそれでOKしてくれたし😊」  達也「了解。当日楽しみにしてる」 俺は彼女からのメッセージにそう返信しLINEのアプリを閉じた。  to be continued                                                                                                                                                                                             
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