12人が本棚に入れています
本棚に追加
その不安気な、頼りなく揺れる目を見て、あの日の自分を思い出した。
僕ももしかしたら、こんな表情をしていたのかもな。
ずるずると座り込んで床に手をついた、苦しそうな顔。バタバタと近寄ってきた足音。荒い息遣いの中で、僕の頭を撫でて出て行った後ろ姿。
僕はしばらく身動きが取れなかった。
あのとき、僕はまだ小さかったから。だから、部屋の中をうろうろしたりなんかして。玄関の扉にちょっとした引っかき傷をこしらえたりなんかして。カッコ悪かったなって思ってる。
けど、僕はもう大きくなった。
おばあちゃんの手を握りしめたまま、ゆうくんは眠ってしまった。そのぷくぷくですべすべのほっぺを、僕はぺろりと舐めた。
ちょっとしょっぱかった。
最初のコメントを投稿しよう!